園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

仕事の重要度と緊急性

あなたが急ぐその仕事は重要ですか?

Posted on 2013-01-10

新年を迎えるにあたって

 新年あけましておめでとうございます。

 国家の運営は政権が交代して経済や金融に新政権が力点を置いた施策を打ち出していることは、ビジネスに関係する一人として喜ばしい限りです。

 読者の皆さん、新しい年になり気合が入っておられると思います。気合を入れれば入れるほど、ビジネスでは矛盾することを同時にやらなければならないこと、さらに、その時間が限られていることにお悩みかと思います。

 例えば、顧客を増やしたい、顧客に対するサービスを強化したい。しかし、会社の負担が多くなる。社員の満足度を高めたいが、これも会社の負担が一時的に多くなる。それでも、矛盾したことをうまく調整して関係する皆をハッピーにしなければ、経営をしたことにならないのです。

 私は、「三方一両得」と言って、顧客も社員も会社も皆が得をする解を見つけることが必要でと説いています。特に、皆さんのビジネスを実際に推進しているのは社員です。したがって、社員、社員の育成に力点を置いていくのが、皆さんのビジネスを成長・発展させる経営の近道かもしれません。

 皆さん、本年もよいスタートをきってください。

 そのために、まず仕事の仕方について述べることにします。なぜなら、この気持ちで1年を経営してもらいたいからです。ほとんどの仕事には、仕事の目的遂行のために「重要度」「緊急性」の概念が関係しています。

 にもかかわらず、事前にこの二つの概念を意識して仕事を遂行することが少ないのも事実です。緊急度については日常的に意識して判断せざるをえない場合が多いのですが、大半の方々が重要度を明確に意識して仕事をしていないのが現実ではないでしょうか。

仕事の重要度と信頼性の関係

 重要度と緊急性の組み合わせで4つにカテゴリー分けできます。

①事業の目的達成のために重要度が高く、緊急性が高い仕事も理論的には多いのです。

経営上一番重要度が高い仕事として、私は

1.顧客の開拓と

2.顧客との良い関係の維持、

3.社員の働きやすさの環境造りにおいています。

この3点は独立してあるのでなく、統一的に完結する経営姿勢、経営哲学として私は重視しています。

 自社の商品を買ってくれる顧客の具体的な顔を社員と一緒に見たいのです。ニッチな分野の個客とでもいえる人々です。緊急事態が多くて、日常の判断からこの視点が意外に失念されやすいのです。

 仮に、顧客に関わることや重要度が高く緊急度が高い状態が毎日発生しているとしたら、このこと自体がその企業の存続のためにまず問題ではないでしょうか。

皆様の会社、大丈夫ですか?その会社に根源的課題があるか、もう少し早く必要な手を打っていなかったが故に大きな課題に今直面しているケースかもしれません。でも、これを克服しない限り、その企業の継続的発展は厳しいと見ざるを得ません。

重要度が高い仕事は、意外に緊急度が低い場合が多いのです。

 すなわち、会社の将来の発展のために極めて重要な仕事は、「今すぐ実行」という意味での緊急性は少ない仕事であるのが一般的です。例として、人材の強化です。

 これはどの会社にとっても重要な仕事です。しかし、今日緊急にこれを実行できなくても、明日実行することができるのです。健全に時間をかける場合は別として、人材の強化が重要性が高いにもかかわらず、明日、その翌日と一日伸ばしとなり、結局、実行に移さないまま、その年度に積み残し翌年に繰り越されることが多いことに留意すべきです。会社としての大きな機会ロスです。 

重要度が低くて緊急性が低い仕事に属するルーチン的な仕事をしている人には、何か新しいことにチャレンジしなくてもこれで一日が終わってしまうことが問題です。

 これが常態化すると、会社としてはゆゆしきことですが、現実には、いろいろな会社でこれに似た事態が発生しているかもしれません。上司がこのパターンを意識的に排除する経営手段を講じていない場合です。会社が重要視する方向に社員のベクトルを合わせる努力を怠っていると、このような現象が現れます。 

重要度が低いが緊急性の高い仕事は理論的にはありえますが、ビジネス的には意味が薄いパターンです。このパターンで業務を継続的に続けることはまず不可能です。

重要性に力点を置いた仕事のやり方を認識

 重要度と緊急性の4パターン分類で経営上一番問題なのは、ほとんどの仕事が緊急性に引っ張られやすいことです。経営層が計画的に段取りよく仕事をしていれば、本来緊急性に引っ張られる確率が少ないにもかかわらず、経営層の計画性の無さからこのような事態が発生します。

 また、緊急性が高いが故に、会社の中の大騒ぎ事態を救う救世主が現われます。この時点では本源的解決にはなっていないにもかかわらず事態は一応落ち着き、急場を凌ぐことに貢献したその人が評価を高めやすいことになります。

自分の仕事の点検

 皆さんの日常の仕事を一度、この4パターン分類で振り返ってみてください。緊急度の高い仕事が多く発生するのは、本人か上司がこれまで重要度の高い仕事に対応していないことが原因です。他の部門や人々にも大きく影響を及ぼしてしていることを認識すべきです。

 私は、1年間にその会社でなすべきことをリストアップして、その中から重要度の高いものを選択することにしています。逆に、重要度の高くないことには、首を突っ込まないことにして、不要と思うことを捨てています。

 このように重要度を峻別することは、仕事のやりかたの反省にもつながると考えます。ぜひ、このことを「考える」習慣をつけたいものです。