園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

ネジメントクラブ

第232回 2016年のお礼とご連絡

Posted on 2016-12-29

 本年、何より楽しかったのは、読者の皆さまとのいろいろな接点でした。

 私がその都度考えていることを「園山征夫のビジネスコラム」に書くと、励まし、賛同、ご批判などいろいろ建設的なお言葉をいただき、皆さまとの接点の強さに私自身が元気づけられました。また大変勉強にもなりました。それに気をよくしてほぼ週一回更新していたら、なんと今回で232回を数えるまでになりました。

 来年も続けていきますが、一つご連絡です。

 クロスメディア・パブリッシング社が経営者向けのセミナー「マネジメントクラブ」(http://www.management-club.jp/)を開催するのに先立って、新年から、このクラブのメルマガの一部を引き受けることになりました。また、12月に出版しました『勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方』と『園山征夫の経営語録集』は、この経営者向けのセミナー教材の一部としても利用する予定です。

 私の時間的な関係で、今後「園山征夫のビジネスコラム」への投稿内容が「マネジメントクラブ」向けのメルマガへの投稿内容と一部同じものになる可能性があることをご了承ください。読者層がより幅広くなり、皆さまの新しい交流の機会にもなると期待しております。

 なお、新年第一回目の投稿は1月12日頃を予定しています。

 皆さま、どうぞ良い新年をお迎えください。

 本年最後に、『勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方』の「まえがき」を原文のまま、ここにご紹介申し上げます。これまでの私の経営のエキスを、事業計画(含む、戦略計画)の側面から捉えた本です。主として経営者を対象としました。少しでも経営者の皆様の経営に有益になれば幸いです。

 

まえがき

 

  • 経営とは何か

 

 「経営」とは何でしょうか。

 人によって答えは様々ですが、私は次のように答えています。

 「経営とは、目標と現状のギャップを埋めるための戦略と戦術のことである」

 

 社長には、実現したい夢や目標があるはずです。会社を大きくしたい、有名になりたい、上場企業にしたい、愛される商品で社会に貢献したい、地域で一番の会社になりたい……。

 私は、社長はどんなに大風呂敷を広げても構わないと思っています。むしろ大風呂敷の方がいいのです。なぜなら、会社は社長が描いたビジョン以上に大きくなることはないからです。会社の枠は社長が決めているのです。

 会社が、家業レベルで終わるのか、それとも「事業」へ進化するのかは、社長次第です。そして事業へ進化するためには、会社は常に成長を続ける必要があります。盤石の基盤があって毎年高収益を上げていて、もう成長しなくてもいい、という会社は少ないでしょう。常に成長のために努力しなければ、衰退を余儀なくされるのです。

 特に中小企業では、慢性的に人材不足ということが言われますが、成長を志向しない会社に有望な人材が集まるはずがありません。そしていい人材が集まらないと成長もできないのです。

 社長は目標を持ったら、それを表現して社員に提示してください。自社が成長することによって、どこにたどり着こうとするのかをはっきり示すのです。目標を社員と共有してください。そのために必要なのが「事業計画」です。

 

社長が会社の将来像を事業計画で示す

  

各年度に計画をブレークダウンする

  

部門や個人の目標を設定する

 

 事業計画を示すことで、社員に成長のステップを「見える化」します。すると、成長のスピードも格段に速くなるはずです。

 目標と現実のギャップを何年で埋めるか、そのスピードは経営者が決めます。3年後を到達目標年度としたならば、そこから年率何%増でいけば達成できるか逆算して、各年度にブレークダウンします。人間は怠惰な生き物です。計画を立てない限り、経営者も社員も日々の業務に流されて、いつまでたっても目標にたどり着くことなどできません。

 

  • 社長に必要なのは覚悟と事業計画

 

 私は常々、「経営にスーパーマンは必要ない。社内にもスーパーマンは必要ない」と言っています。会社が成長するために必要なのは、社長の覚悟と事業計画だからです。

 私が故大川功氏(CSKの創業者)からベルシステム24の経営を依頼されたのは、43歳の時でした。財務状態は相当悪化しており、資金も人材も枯渇した、ないない尽くしからの経営でした。唯一あったのが覚悟です。「この会社は絶対に潰してはいけない。従業員の背後には家族もいる。社員を絶対に路頭に迷わせるわけにはいかない」そう腹をくくって再建に取り組みました。ただし、いくら私が覚悟を決めたといっても、形で示さなければ、社員も金融機関も私の話など聞いてくれません。私は覚悟を「事業計画」に込めて、社員や金融機関に提示しました。

 そして、夜を徹して社員と議論して、お互いにおにぎりをほおばりながら、事業計画の浸透を図りました。

 当時、同業他社に比べて、社員は3倍ぐらい仕事をしてくれましたが、不思議と苦痛と感じる社員はいませんでした。それは、目標数字をクリアしていくうちに、事業計画が現実に展開していけば目標に到達できると誰もが確信できたからです。そして、社員たちは、目標に到達したときの自分の姿をありありとイメージすることができたので、ハードワークも苦痛には感じなかったのだと思います。会社の成長と社員のランクアップがリンクしていたのです。

 私が経験上学んだのは、実は世の中には、事業計画の重要性を認識している経営者は少ないということでした。仮にすべての経営者が事業計画を立てて事業を進めるならば、同業者の間で戦略同質性の問題が出てくるはずですが、現実はそうはならないのです。いかに、経営戦略をまじめに考えている経営者が少ないかの現れでしょう。事業計画にまじめに取り組み、計画を実行すれば絶対に勝てるのです。

 

  • 継続して成長するために

 

 世の中には素人の経営者とプロの経営者がいます。素人の経営者は、無手勝流の経営で、たまたまうまくいくこともあるでしょうが、多くの場合、景気など周りの環境に左右され、勝ったり負けたりを繰り返す不安定な経営になりがちです。

 これとは反対に、「継続的に狙った数字や計画項目に実績を出す」のがプロの経営者です。なぜプロの経営者にそれが可能なのかと言えば、プロは経営には公式があり文法があることを知っているからです。公式や文法に則った経営をすると、早く成果が出て、しかもその成果が継続します。

 経営における公式はたくさんありますが、会社の「成長」を前提に考えた場合、次の3つに集約されます。

 

一.事業は、中期的な「計画」を基に実行するほうが、経営者がやり遂げたいことを実現するのに近道である

二.毎年、利益の一定割合を新機軸に投資して社会の変化に速やかに対応しないと、事業の継続的な成長が保証されない

三.事業の担い手たる社員のレベルアップと社員が自主的に判断して自由闊達に仕事が出来る企業風土を造ることが事業の持続的成長を保証する

 

 本書は、上記について、「事業計画」を核に解説したものです。

 社長職を退任後、いろいろな社長にアドバイスをする機会の中で、私の経営経験を踏まえて今悩んでいる経営者諸氏の実践的な手助けになるものを提供しようと考え、今回、クロスメディアが「経営塾」を開催するに当たりこの本を著しました。

 読者諸氏が本書を読んで力づけられたと感じるところがあれば本望です。

 

著者記す

 

 以上です。ありがとうございました。