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仕組み

あなたの会社は活性化していますか?

Posted on 2013-03-14

会社の活性化は経営にとっても働く社員にとっても極めて重要なことです。また顧客に「そういう会社でなら自分も仕事がしたいな」と共感をもたれる企業には潜在的に成長のエキスが溜まっています。顧客は生き生きと仕事をしている社員の姿を見て組織の中身まで推量するのでしょう。

組織の診断

上記のことからお分かりの通り、会社の活性化は組織が健全か否かと不可分な関係です。

ここに組織の健全性とは

  • 組織が動きたい方向に、
  • 最適なスピードで、
  • 最適エネルギー量が発揮でき、
  • 組織自体に自浄・改善・改革作用が働くこと

です。

価値の共有

従って、会社の活性化には、第一に、会社や組織が行きたい方向に動けるのは、志向している価値が全社員で共有されていることが重要です。

 「価値の共有」です。

具体的に表現すると価値とは、会社の社是、経営理念、方向性、戦略などの総体です。しかも体系的に一貫したもので、かつ、社員がそういう中で仕事がしたい、頑張りたいと共感を覚えるものが必要です。自分の会社として「共有する価値」を何に置くのかを、会社の発展段階に応じて真剣に考え直すことも必要になるかもしれません。

今の時代、競争優位に長く座ることは非常に困難になってきましたが、それでも時代にマッチした価値を共有し、社内外の「知」を組み合わせることでたくさんのビジネスチャンスを生むことが、会社の活性化につながるからです。

このためには、内部の意見の衝突を真剣な議論を経て一定方向に集約、意思統一することが不可欠です。しかも、情報はなるべくオープンに議論することです。個別の政策は別ですが、会社の理念、方向性、優先順位などは統一が必須です。

この過程で生まれる相互の信頼感をもとに、社員の力を同じベクトルに結集するリーダーシップが要求されます。決定のプロセスや内容の開示についても、全員が同一レベルで理解できるよういろいろな工夫が必要となります。

沢山のエンジンで「知」の組み合わせ

 第二に、統一された方向に向かってスピードとエネルギーを最適にするには、会社のエンジンが一つでなく、いくつものエンジンを持った上でトップがそれに対して統合的に采配を振るうことです。

このことは社員全員のエンジンがモラール高く作動しなければなりません。必要な「仕掛け」や「仕組」をつくり社員の創造性と働く意欲を促すため、自主性と自由度を重んずる風土づくりと直接リンクすることです。

このようなモラールアップの「仕掛け」や「仕組」がある限り、経営陣としては業務の大半を権限移譲しても問題が生じません。また、権限を委譲された社員の自律的な行動が会社の活力が増すことにつながるのです。

「知」の組み合わせには「物」が問題でなく、「人」が問題なのです。上杉鷹山の言葉に「人多き 人の中にも 人はなし 人となれ人 人となせ人」(言志四録)とあり、人の心が問題と解せる部分があります。ご留意願いたいです。

顧客に近づく組織

 第三に、会社の発展段階に応じて組織のあり方が変わっていくべきです。中小の企業が10億円の壁をなかなかクリアできないのは、組織の自浄・改善・改革作用が正しく働き、その発展段階に応じて変化していないからです。

重要なことは、社員全員が顧客にいかに近づくかということに常に思いを巡らせる組織か否かです。すなわち、営業が顧客接点を持つとか、どの部門は管理だとかに関係なく、それぞれの個々人が各人の範囲内で顧客に真剣に向き合う組織風土がなくなってきた場合にも、速やかにその修正行動が取れる組織になっていることです。

今の時代、情報は内外を問わず簡単にアクセスが可能です。会社が志向する資源を手に入れるのは工夫次第でいかようにも可能です。むしろ内部の資源のほうの価値が低くなっていることも発生します。

その意味で、他の会社と手を組む発想を常に持つことです。守るべき本質的なところに自前主義を抑え、できる限りオープンに他社と付き合うほうが顧客にスピードをもって近づくことができ、自社の発展につながるのではないでしょうか。

 

継続的に伸びる会社は何が違うと思いますか?

Posted on 2012-10-11

 私が経営にとって重要なポイントと日頃考えるところがあります。

 「これからの課長の仕事」、「これからの社長の仕事」(ネットスクール出版)の中で「農耕型企業風土」づくりで会社を成長させるための「フォーミュラ」について述べ、そこでポイントを説明しましたが、今回は継続的に伸びる会社のポイントを違う側面から言及します。

チームの中で活きる個々人の能力アップ

 第一に、社員一人一人が自主性と能力を持ち、それぞれが機関車の機能を全うできることです。個々の社員がエンジンを持ち、部隊を引っ張っていける能力を持つことです。

 その為には、詳細は前述の本に譲りますが、個人の能力をチームとして発揮できるようにする「企業風土」づくりが必要です。

スピードある行動力の維持

 第二に、組織風土としての駆動力、行動力が必要です。環境、技術革新やマーケットの変化への、企業の迅速な対応力と言ってもよいかもしれません。

 経営戦略を描くことも肝要なことですが、オペレーション上齟齬がなく実行(行動)できるということが担保されない限り、利用者への訴求力は弱まります。企画が実行された段階ではじめて様々な顧客のリアクションが出てくるからです。

 時に、企画自体の変更や、サービスプロセスの高いレベルの変更を余儀なくさせることになるかもしれません。スピードをもった行動力で変化対応する柔軟な組織風土が企業を救うことにつながるのです。

特色ある仕組みをプラットフォーム化

 第三に、すばらしい特色ある「仕組み」をつくることです。システムも含めたいろいろな仕掛けを仕組みにすることです。

 自社のサービス商品提供のためこの仕組みを最初につくるとしても、ゆくゆくは自社以外の他社を含めて共同で利用できるプラットフォームにすると、更に会社の持続的な発展につながる考え方もあります。小さい会社にとっては非常に難しいことですが、第三者が魅力を感じるほどの仕組みやプラットフォームでない限り、その会社の差異化につながらないという意味で難しいことなのです。

 その仕組みには通常経営理念やノウハウを具現化する自社の企業風土を映したノウハウや特色が鮮明にでてくるはずです。手の内を開示するわけですから、ここで自社のノウハウをオープンにして第三者の共同利用に供するか否かの経営判断の岐路に立ちます。したがって、自社の企業風土やノウハウを背景としたプラットフォーム(仕組み)を共同の利用に供する判断は、相当な自信がないとできない相談で、そう簡単ではありません。

 要は、それぐらい素晴らしい仕組みでない限りその企業の持続的成長を支えることができないので、「仕組み」に大きな特色をだすことが重要です。

「個」より「全体」を売るサービスのデザイン

 第四は、サービスのデザインを設計し、商・製品をその中のサービスの一部としてとらえるべきことです。デザインの中にサービス重視の考え方を活かすことです。

 企業が売りたい商・製品を押し付けがましく店に並べるのでなく、顧客がその商・製品を手に取り、自分の生活空間の中での利用シーンを思い浮かべるような、利用シーンの各フェーズで利用者の願望や要望をどうサービスのデザインの中でどのように実現していくかを念頭に置いたサービス・デザインにすべきです。

 こうするとサービス導線全体の中で、その商・製品の持つ個の価値より、さらに付加価値のついた全体を利用者に提供できるものになります。すなわち、経営の中に需要側のデマンド・オリエンテッドの視点を積極的に取り込むことにつながります。

 iPodなどは、楽曲、店舗、第三者のアプリ、電子書籍などのサービス全体をデザインすることで単なる単体商品より、全体として付加価値の高いサービス商品を利用者に提供することを、初めから戦略として狙っていたかもしれません。

 

利益を生む仕掛けや仕組みを具体的に指導していますか?

Posted on 2012-09-27

 中小の会社では、このことが不得手な会社が意外に多いように見受けます。利益を上げるために社長等幹部が漠然と「もっと頑張れ!」と言っているだけで、「仕組み」として指導していない会社が多いのです。

「仕組み」を具体的に見える形に

 会議体での報告の「フォーマット」ひとつをとってもそうです。一例です。そのフォーマットに従って報告をしていけば、そのうちフォーマットの主旨とその裏に潜む考え方を報告者が理解してきます。その結果として会社が目指す経営のポイントがわかってきます。

 このように、フォーマットは誰でも一定レベルの経営ができるようにするためのものです。天才を対象とするのでなく、普通の社員が一定のレベルの部門経営を行える、一つの仕組みをつくることが肝要です。

 グループ責任を持たされた長が、グループの経営実態と課題を「フォーマット」化した報告書に反映させ、修正行動も含めて次の展開を図れるようにするのも指導の大きな部分です。アルバイト社員も含めた社員との意見交換が十分できていない長の報告書はすぐ見抜けます。

 仕事をしていない責任者の報告書もすぐ見抜けます。理由は、実態を踏まえた知恵の塊やチャレンジした事実が無く、または、報告として具体的に書けないほど、取り組みの課題、やるべきことがぼやけているのです。

 私の体験です。

 経営を引き受けた当座、社内のマネジメント全体に総コストで物事を把握する習慣がありました。私が観察するに、固定費と変動費を分離してみる習慣が薄いので、現場での意思決定にキレが無く、無駄が生じていました。これを、口を酸っぱくして言うよりも、フォーマット化した報告書で固定費費目、変動費費目や限界利益を具体的に表示させることで、彼らの考え方のみならず、マネジメント行動自体に変化をもたらすことが可能となりました。

 今からすれば当たり前のことかもしれませんが、私は1990年代に於いてこの概念とツールを「見える」形のフォーマット化、仕組化しました。うれしいことに、この報告方法が、社員の体質となって身についていたことが、Facebook上で私のコラムを見た元社員からの最近のコメントで分かりました。

 経営側は、そのフォーマットに記載された「上手くいったこと」や「上手くいかなかったこと」をもとに、具体的に指導していくのです。この「フォーマット」化された報告書という「仕掛け」で自分のグループがどうしたらさらに儲かるかの知恵を結集していくクセがついてきます。

 また、「自分たちの意見が報告書を通じて経営に取り上げられた」となると関係する社員のモラールは高まり、彼らからも自主的に提案やアイデアがでてくる傾向をつくることにもつながります。

時には、「バカモン」と厳しく指導

 報告の仕組みとして「フォーマット」化の理由を説明しましたが、このレベルの幹部には育成上重要なポイントがあります。

 単純に任せるのではありません。任せながら指導するのです。

 私は、組織を発展させる約束を条件に、この様な育成途上のグループ長にもその部門の営業、方策、採算管理、人事などすべてを敢えてやらせました。ミッションと「場」を与えたのです。それが「グループ長の任務です」との一言を添えて。

 彼らをそれまでの「してもらう」立場から「してあげる」立場にして、現実の経営で厳しく指導しました。

 責任を持たせることですから、意に沿わない経営をした時には、私は「バカモン!!」と会議の場で叱責し、「週間報告書」と称する報告書には赤鉛筆の大きな字で「バカモン!!」と書きなぐりました。「指導された」ことを誇りに、「バカモン!!」と朱記した私のメモを今も保存している者もいました。これを「何クソ!!」とバネにして発奮し大きく成長した社員が沢山います。

 彼らと仕事の意義や改善策をその場で議論すると、非常に血となり肉となるようです。

 このこと自体は私の労力上ものすごい負担になりましたが、とにかく続けました。月例報告会や週報、月報などで厳しくも優しく接することで、社員とトップとの連帯感もつくれました。このようにして日常の経営の場で指導しながら大人の同志をつくっていったのです。

「人材の石垣」の組み合わせの妙

 沢山の社員の生活がそのグループ長の双肩にかかっているのです。

 最近、職場で叱る姿を見ることが少なくなりました。

 口に出して「ああしなさい、こうしなさい」と叱りつけながら一人前の幹部になるよう指導するのは上司として当然のことです。単なるコンサル的仕事をやっているわけではありません。そのような叱責でひるむようでは、彼にはその部門の将来や部下の生活の責任を負わせられません。

 とにかく「フォーマット」化した報告書の報告内容をもとに真剣勝負で経営側が期待することを具体的に指導していきました。

 大きい石、小さい石の組み合わせで簡単には崩れない石垣群ができるといいます。

 人は石垣と言います。

 そのとおりです。人材で会社が持っています。うまくいっていないところは、この人材という石垣の組み方が下手なのです。

 いろいろな指導をしても、社員の成長の分野とスピードは一様ではありません。小さな石垣はそれなりに、また、大きな石垣はそれなりに。強い石、柔らかい石の組み合わせ、バランスの妙が効くことになります。それらを上手く組み合わせ、すべての石が活きる工夫をしていくために、経営層はいろいろな指導をすることになります。

 

望ましいロイヤルティー・マネジメントをする部門を新設してみませんか?

Posted on 2012-08-09

 皆さまの企業に、過去のアカが貯まっているとしたら、今こそ新しい企業像を新機軸として打ち出していく必要があると感じていませんか?社長の経営哲学にもとづき確実にスピードをもってその考えを実践に移していける部門を新設しては如何でしょうか?

新機軸の打ち出し

 顧客のロイヤルティーをマネジメントすることを薦めたいので、一例として「○×CRMサービス部門」とでも仮称してみましょう。私はこの分野を専門に経営していました。その中で気づきました。

 部門の社員が自立的に『わくわく元気』に仕事をしていく社風がまず大前提になります。この時はじめて顧客との良好な関係性(リレーション)を継続的に保て、顧客のロイヤルテイー化を進める土壌ができるからです。このような部門は顧客の願望・要望をキチツとキャッチして顧客が望むサービス・デザインを具体的に実現していかなければなりません。多様な要望に応える「仕組み」が必要となります。

 しかも、顧客が「訪問してみたい」と思う千客万来賑わう「場」をつくり多様な情報が集まりやすくします。結果として、その部門自体がマーケッテイング機能を組み込んだものとなるのです。

 社長が考える新機軸として、CRM関連の新しい部門を新設するにあたり、2、3留意すべきことを念押しします。

経営理念の明文化

 第一に、その部門として会社全体の経営理念と相反しない範囲で部門の理念に相当するものを明文化することです。部門の運営理念には、部門の将来の絵姿が部員全員に分かりやすく伝わる力を持った簡潔明瞭な形で欲しいです。

企業風土をコアコンピタンスに

 第二に、これから部門の責任者がつくっていくコアコンピタンスは、彼の志と裏腹の関係にあるものですが、頭でっかちに考えず、ユーザーのニーズから出発したほうが得策です。コアコンピタンスは分解すると何かの強さにいきつくものではありません。

 前法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の嶋口先生は、これを『ビューテイフルカンパニー—市場発の経営戦略』の中で、玉ねぎのごとくという表現をされています。「皮をむいても、むいても何か核がでてくるものでなく、玉ねぎが丸ごとあるのです」と。

 私流に言えば、企業(部門)風土などがこれに相当します。

 財産価値として数字では表しにくい企業(部門)風土ですが、これこそがコアコンピタンスになるものと信じています。顧客が千客万来訪問し、全員がクオリティーの向上に責任を持つ風土、顧客からの信頼をベースとして、顧客がサービスから常に一定の成果を期待できる安心感のある風土が欲しいです。

 暫くは、小部隊で思い描くことと現実の部門風土とのかい離の大きさを甘受しながら、それでも志を貫いて頂きたいと思います。新設なるが故の悲哀を味わうこともあるかもしれません。

仕組みのユニーク性の主張

 第三に、顧客のロイヤルティー・マネジメントのため、部門の仕組みにユニークさを持たなければなりません。

 他社のベストプラクティスを勉強してください。はじめは、顧客固定化のため点の競争になるかもしれませんが、組織能力をベースとした競争にビジネスモデル自体に仕立て上げることが、私の経験でも近道です。このために社内外の知恵を結集することです。

 新設部門がこのビジネスモデルを突破口としてつくるにはユニークであることが欠かせない条件となります。

 どうしても既存の部門を真似したくなります。是非、ゼロベースで考えてください。既存の部門のモデルを打ち破り、マーケテイングの新しい流れをキャッチして未来をゼロベースで切り拓く執念が部門責任者に必要とされます。入り口の顧客が出口でフローの利益をもたらし、同時に、この「仕組」のノウハウや風土がストックとなるように組み立てることです。