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差異化

第241回 「No.1戦略」で差異化を図る

Posted on 2017-03-09

 「水は上から下に流れる」。

 当たり前のことです。もし、営業部長が部員に有無を言わせず「今日、x件回商しろ。名刺をy枚もらって来い。」と竹やり戦法で営業指示をだしているとしたら、最前線の社員は「また・・・?」とマンネリを感じているか、自信をもって自社の商品や技術を売っていないのではないでしょうか。

 会社の上部構造の重要なところが定まっていない証拠です。

 私は経営コンサルティングをする時経営者に、「あなたの会社の『No.1戦略』を聞かせてください」と、質問することが多いです。

 結構これに答えられない。苦し紛れの返答が返ってくる場合も多いです。

 その背景は、自社の本当の「No. 1戦略」を経営戦略的に明確に定義、もしくは再定義していないからです。これでは、差異化が発揮できません。

 そこで、大事なことが5点あります。

 

1.「No. 1戦略」を何にするか

 「差異化」が出来ない最大の理由は、今後「自社の何をNo.1にしていくのか」の「No.1戦略」が不明確な場合です。

 商品でもよし、サービスでもよし、地域でもよし、技術でもよし、とにかくできるだけ細分化した一定のドメインで「何をNo.1に目指していくのか」を社内で徹底的に議論して明確に設定すべきです。

「水は上から下に流れる。」以上、この部分をまず押さえなければ、経営の先行きに不透明感がぬぐえません。

 

2.顧客を具体的にイメージした議論をする

 顧客に継続的に選ばれる商品でなければ長続きしません。顧客に選んでもらえるには、架空の想定顧客では不十分です。今いる人や、今ある会社顧客を具体的に想定する、そのうえで仮想敵をイメージするのです。

 自社の特定の商品や技術機能などを、

 ・ある一人の実在する人や会社が、

 ・その商品を具体的に利用するシーンを明確にし、

 ・その商品をどう使い、どこをどう評価ひてくれるのかを徹底的に議論・分析・検証する

 プロセスを経た上での「No.1戦略」としなければなりません。

 

3.「No. 1戦略」が社内の隅々まで徹底する

 経営のコンサルティングをしていると、社長の思いと末端の社員の話との間に大きなニュアンスの違いがあることに時々遭遇します。社長の思いが、全く社内に浸透していない場合です。その原因は、社長自身の思いが誰かからの受け売りもので本気でそう思っていないか、浸透のための努力を怠っているか、双方に欠落がある場合です。

 「No.1になる」には、SWOTなどの分析ツールの考え方を駆使して、将来も継続して成長していくためのドライバーを探し、その武器を使用して、特定のドメインで絶対No.1になる作戦を末端まで浸透することが不可欠です。

 もしそうでない場合には、全社員のエネルギーを違う方向に浪費させてしまいかねません。。

 

4.「何故」、それをNo.1にするのかの具体的説明が不足

 経営者や一部の幹部はアプリオリにその戦略を納得済みでも、「No.1戦略」には落とし穴がある。

 冷静に考えてみると、その商品、サービスや技術をNo.1として位置づけ、第一線の社員が日常的に競合と戦い勝つには、「何故?」に対する明確な回答と納得感があるか否かです。

 日常的に顧客を相手にしている第一線の社員からすると、ここがモラールを高く維持する入り口です。「そうだ、だからこの作戦で行こう!」とする納得感がない限り、「上からの指示なら仕方ない・・・」程度にしか受け取らず、作戦に腹落ちしていないので本気になりきれません。

 

5.自社の「強み」から「No.1戦略」につなげる

 自社の強みにテーマを絞って社内で徹底的に議論する中から「No.1戦略」につなげていくほうが確実です。何もないところから一番になることも可能ですが、成功の確率が低いからです。

 他社に負けないNo.1商品や技術、どこにもない地域で初、日本で初の商品や技術を自社の中で捜索してみることです。ある部分に関しての比類ない技術力かもしれません。心が魅かれる感動的なストーリーを体現できるモチベーベションプロセスかもしれません。社内に浸透している誇り高き「理念、哲学」かもしれません。これをもとにした「企業風土・文化」かもしれません。

 私の経営体験では、これらの候補群の中から絞り込みをすると、どの会社でも必ず「No. 1戦略」の糸口を見つけだすことが出来ます。

 一般的なコンサルテーションでは、その会社の弱点に光を当てやすい。私のアプローチは逆です。強みを更に強くすることを薦めています。特に、中小の企業では限りある資源で経営していますので、弱点だらけのはずです。その中でも相対的な強みを探し出し、これを更に強化して自社の「No.1戦略」につなげる。

 是非、皆さまの会社でもトライしてみてください。

 

 

第154回 事業発展の経営手法(2)

Posted on 2015-05-07

前回の続きです。

 

(II)黒字だが、更にその額と幅を大きくしたい会社では

 大多数の中小の会社は、少ない利益、多分5%位の利益率しか計上していません。それでも事業を継続しています。利益が少なくても、財務管理をしっかりすれば一応会社が回るからです。

 しかし、経営者たる者、これで満足するわけにはいきません。

 

1.「一点集中」

 事業を始めた時、ビジョンや、やり遂げたい目標があったはずです。

 これを実現するには、「あれもこれも大事」という発想を捨てることです。私は、「一点集中」と言っていました。限られた人、物、金、ノウハウの各種経営資源を一点に集中投資をして勝負に挑むことです。

 「一点集中」には、結構度胸が必要です。しかし、賭けではありません。論理的な思考が不可欠です。この時重要なことは、ビジョンや目標を実現するために経営尺度を持ち、それに照らして判断することです。事業の内容によってその尺度に違いがありますが、私は、経営資源たる各種のインプットを利用した結果として、将来得られるはずのアウトプットたる「限界利益」を重要な尺度の一つとしていました。

 今やっている事業の限界利益(率)より多くの限界利益を上げると予想できる事業や商品順に、優秀な人材と資金を投入する努力をしていました。ただ、将来沢山の限界利益を上げるはずの事業でも、環境の変化次第で予期せぬ展開になりうることを想定し、「撤退ルール」を事前に決めて、ダラダラと人とカネを投資するリスクを回避する努力もしていました。

 

2.「質」を重視の作戦転換

 量的なことも重要ですが、この頃からは、質の問題を真剣に取り組まなければなりません。会社の発展段階により顧客の内容も変化します。ある程度の商いの量となると、購入の担当者もあなたの会社の魅力のみでは押せない事情も出てきます。このため、会議などで、こと品質面で他のメンバーからネガティブな意見が出てこないように、質、クオリティ面に最大限の配慮が必要となる頃です。価格差はまだしも、品質面での議論には購入先を切り替えさせる議論に大義名分がありそうだからです。

 この段階で質の面を徹底的に充実してから、一段上の量的拡大を図ることです。

 

3.商売方法に新機軸

 既存の商売のやり方に疑問を呈して、やり方を変革することです。

 今の商売のやり方は、もう峠を過ぎた商売のやり方かもしれません。世の中には新しい道具が沢山出てきています。しかも、多数の顧客の支持を受けたものも見られます。

 会社が伸びる時には、必ず何かを変えています。変える要素として何を選ぶかは、その会社により違いますが、他の業種や業界を参考にして、商売のやり方に何か新機軸を取り入れるのが大きく伸びる一つの方法です。

 

4.商品の種を試行

 新しい商品開発を手掛けることです。儲けている商品の寿命も考えなければなりません。儲けている時こそが意外に危険な時期です。忍び寄るリスクの話題は、儲けている事業部の批判に聞こえてしまい、なかなか持ち出しにくい雰囲気が出てくるからです。しかし、競合相手が出てきます。儲けている商品であればこそ、競合もその分野を狙います。

 多少黒字化した今の段階で、次の商品の準備をすべきです。ほとんどの商品が成熟したマーケットで競争をしていますから、その商品がすぐに売れるようになるとは限りません。そこで試行錯誤の連続です。そのために、早い段階で複数の商品をトライして、上手くいきそうな商品(限界利益が大きくなりそうな商品)に絞り込むプロセスが必要です。

 

参考になりましたでしょうか。

 

第153回 事業発展の経営手法(1)

Posted on 2015-04-30

 経営アドバイスをしていると、意外なことに気づきます。事業の発展段階が違うのに、それに相応しい経営をしていないことです。どこかで聞きかじり、発展段階が違うのに、それをそのまま自分の会社の経営に取り入れる愚を犯していることです。結果として、成長のスピードを遅らせています。

 そこで、今日は、(I)長年赤字続きの会社、(II)黒字だが更にその幅を大きくしていきたい会社に絞って、経営者がすぐに取るべき策のヒントを提供したいと思います。

 

(I)長年赤字続きの会社では

 このような場合、社員の士気も内実は低いはずです。それにも拘わらず、第三者にそう見られないために、無用なカモフラージュをしているかもしれません。

 大事なことは、早く黒字転換することです。黒字化すれば銀行からの資金の導入も楽になりますし、社員の士気も上がります。そのためにどうするか。

 

1.本当の強みを真剣に探り、事業のターゲットを絞る

 自社の本当の強み、魅力は何かを、徹底して探ることです。

 「あなたの会社の強みは何ですか?」と質問をすると、返ってくる返事は教科書に書いてあるような、仰々しくお定まりの文言のことが多いです。しかし、このような答えに、私は納得しません。その会社の人々が、伝承で勝手に強みだと思い込んでいることも多いからです。 そして早晩、更に業績が悪くなる傾向が強いです。

 上司から伝え聞いた自社の強みを、そのまま鵜呑みにせず、顧客の声を聴き、顧客の本当の声を集めてください。赤字続きの会社は、この部分の分析が弱いことが多いです。顧客がなぜあなたの会社から商品を買っているのか、会社側の論理での思い込みでなく、顧客があなたの会社の何に本当の魅力を感じているのかを真剣に知らなければなりません。

 それを知れば、それにターゲットを当て絞れば良いのです。いろいろな策で時間とカネを使うのは愚の骨頂だと思います。だから赤字が消えないのです。

 私は、よく『「差異化」をはかりなさい』と指導することが多いのですが、それは顧客が感じるあなたの会社の魅力に、あなたの会社の全エネルギーを注ぐことを意味しています。

 

2.「売り」に焦点を当てた情報提供

 最近は、購入側が最初にアクセスするのが会社のホームページ(HP)であることが多くなりました。従って、これの設計を軽んじ、過去のデータの更新がなされず、なんとなく情報を流しているように見られるHPは、大きなマイナスです。また、HPを見ると、何でもかんでも掲載している会社があります。総合的なデパートにしています。

 前段で述べた論理の通り「売り」に焦点を当てた最新情報の説明になっていなければなりません。赤字段階の状態にある今、会社の顧客はあなたの会社にデパート的なものを求めてはいないのではないでしょうか。あなたの会社のHPを通じて、「差異化」された特別なものがあなたの会社にあるかを捜していると思います。

 その意味で、もし会社自身の説明が焦点をぼやかし総合陳列的な説明になっているとすれば、早期に策を打つべきです。

 

3.単純な「仕組み」つくり

 「仕組み」の単純化が必要です。

 赤字会社に限って、やたら社内の仕組みが複雑なことが多いです。単純な作業なのに、これを省力化せず後生大事に継続しています。単純作業は代替可能なのに、他の人がタッチできない「仕組み」のまま、時間が過ぎています。これでは本来の効率が出ていなくて当然です。無駄なコストをかけて、赤字に貢献していることになります。

 最初は抵抗があっても、毎期の計画を達成するために、受注に至るプロセスを管理でき、売り上げとコストを正確且つ迅速に把握でき、しかも、社員全員にこの同じ数字が「見える」状態にすることです。

 フォーマットも簡単な、しかも、本質的なことのみ押さえるフォーマットにして、それを下にマネジメントしていくことで、生産性が確実に上がります。上司が部下に指示する内容そのものも変容してきます。上司が人に仕事を託す意味も分かってきます。

 

4.世間体は一切忘却

 「○×会」、「○×クラブ」などの入会肩書や世間体を気にしないことです。そのような余裕はないはずです。

 経営者自身が見栄や体裁を捨て去り、社内の黒字化、できればその先の戦略にのみ時間を費やすことです。そのためにも顧客に回商することを最優先し、顧客があなたの会社に魅力と感じることの作戦に頭と時間を使うべきです。