園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

新しい取り組みへの本気度

第169回 新しい取り組みをする

Posted on 2015-08-20

 どの分野でも競争が激化しています。同じ業界の中での競争は当然として、言葉は悪いですが、違う業界から殴り込みをかけられることにもなりかねません。

 皆様のビジネス分野では、できれば、この逆でありたいですね。そのためには、大げさに言えば戦略的な思考が望まれます。

 相手がいるスポーツ競技を例にとるとよく分かります。データによれば自分より勝る相手に、どう勝つかの研究をそれぞれの選手は入念にし、その上で勝負に臨むと思います。事前の研究が良くても負けることはありますが、その研究をした方が、はるかに勝つ確率が高いはずです。

 皆様は、そのためにどんな研究と準備をすればよいかです。

 

競争の現実

 商売をやっておられる方々はどなたでも、特定の仕組みやチャネルで、毎日特定の商品やサービスを販売し、結果として利益を上げておられると思います。

 その状況に、「違う商品やサービス」を持ち込む相手が出てきたらどうしますか?同じ商品やサービスの販売に、「違う仕組みやチャネル」を持ち込む競争相手が出てきたどうしますか?

 「どうすますか?」という悩みが、現実に発生しているはずです。自分のシェアが奪われ、利益が減少することにもなります。 戦略は、この逆を考えれば良いのです。

 

違う商品と違う仕組みやチャンネルを考える戦略

 もしあなたが営業の責任者であれば、営業の戦略を立案する立場にあります。毎月の計画をクリアするのは当然として、その上で勝つ戦略を練らなければならない立場です。

 その作戦が本当に競争相手に勝つ戦略になるには、

(1)これまでと違う新しい商品やサービスを今の段階で考え、試行錯誤を重ねながら、本物の商品やサービスに仕立てる必要があります。

 これが結構難しく時間がかかるのですが、本人が本気で戦略的思考をしていれば数年で結果がでてきます。

 既存の商品やサービスで十分食える間は良いとしても、マーケットが成熟していった段階で後悔しても遅すぎるのです。

(2)また、これまでの営業などの仕組みに構造的疲弊が出てきていませんか?

 昨年まで、その仕組みやチャネルで営業展開をしてきたが、どうも最近上手くいかない、仕組み自体が限界に近づいていることに気づくはずです。そうなると、自分の会社の営業などの仕組みに新しいものを導入しなければ、競争に勝てないはずです。

 さもなくば、会社自体が沈没の危機をむかえるリスクが高くなります。

 新しい商品やサービスを導入したり、仕組み自体を変えたりするには相当の抵抗があります。しかし、世の中の成功している企業をみると、ほとんどが、上記の(1)、(2)を、時間差を置いてでもやった企業です。模倣され、当初あった「差異」が平準化する前に、そのような手を打つべきです。

 

新しい武器が利用できないか、既存の仕組みは本当に打破できないか

 営業展開に利用できる新しい武器がどんどん出てきています。ネットの販売チャネル、ネットを利用した販売促進策など、費用対効果を重視した方法もあります。

 にもかかわらず、過去の営業の仕組みを踏襲するだけで満足するような営業の責任者は、その会社を存亡の危機に導くことになりかねないという認識をもたなければなりません。

 

少しでも新しい取り組みを

 新しい商品やサービスを新しい仕組みに乗せる営業戦略、すなわち新しいビジネスを創造するのは、理論上は納得できるとしても、現実の商売をされている方々の一部にとっては少しハードルが高すぎると思われるかもしれません。このような営業の責任者には、議論のみでなく、少しでも良いので何か新しい取り組みを本気試してもらいたいです。事業に新規性を取り入れてほしいのです。

 私は過去、現場レベルにも「当月、どんな新しい取り組みをしたのか?」と、毎月の業績報告会で必ず、聞くことにしていました。最初はこの質問に窮する社員も、毎月しつっこく聞く社長の本気度に負けて(?)、数か月後には新しい取り組みをするようになったから不思議です。

 経営者がこのように現場の社員に問う限り、経営者や幹部社員の戦略にも当然、新しい取り組みが必要です。人事、組織等いろいろ関係しますが、営業的に一番重視していたのが、商品やサービス開発に新たな投資配分をすること、および、営業展開の仕組みの中に、クライアントに付加価値をつけられる仕組みを創造することでした。

 全て出来たわけではありませんが、それでも、既存の商品やサービスの近辺で新しいものが開発されました。それらが、業績にも貢献するまでにもなりました。そのクライアントに合った付加価値の高い仕組の開発も手がけました。どうしてもコモディテー化しやすい商品を仕組みの新しさでカバーする作戦で、業績にも少しは貢献できました。

 ご参考になれば幸いです。