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燃え尽き症候群、仕事に変化、話す、褒める、息抜き

燃え尽き症候群への対応

Posted on 2014-09-25

 私はテレマーケティング事業の経営に長い間携わっていました。この事業は、人が財産であると同時に大きな生産手段である関係上、サービス提供に従事する社員の燃え尽き症候群は経営上大きな悩みでした。ここに燃え尽き症候群とは、気力が突然失せてしまい、仕事が手につかない状態を言います。

 組織として何とかしなければと、関連分野の勉強をしました。また、専門家の意見を聞いて予防に努力をしました。この症候群に関する医学などの学術的視点はその分野の専門家に譲るとして、私の経験から言えることは、この症状は真面目な人に発生しやすいことです。働き過ぎで、何かにのめりこみやすい人が発症する傾向がありました。真面目で頑張っている人に限ってある日突然気力を失くし、仕事への熱意を失ってしまう傾向が多かったのです。

 本日は、私が直接、間接体験した対応方法を数点述べさせていただきます。

 社員が自分自身で努力すべきことももちろんありますが、経営側や上司が組織として配慮すべきことが大部分です。燃え尽き症候群は、個人の問題として簡単に片づけるには余りにも大きすぎる課題で、社会全体としての損失も大きすぎるというのが私の基本的な考え方です。

 

1.仕事に変化を持たせることです

 燃え尽き症候群の事前予防のために、仕事に変化を持たせる配慮こそが上司として重要な仕事です。

 いつも同じルーチンの仕事をしていると、誰でもこの症候群の入り口にいながら気づかないことが多いかもしれません。そうならないための予防としては、仕事に変化を持たせる工夫をすることです。

 変化とは、ルーチンの仕事の流れを変えることです。他の仕事に配置転換する、仕事場の物理的環境を変えるなどいろいろな方法があります。そのことで本人は気分転換という大きな変化を手に入れられます。実際、この方法が事前防止のためにかなりの効果を上げることを体験しました。権限のある上司なら、努力如何で組織として予防が出来る策です。

 

2.人と話せる環境を用意することです

 難しい仕事には、時に上手くいかない事態も発生します。この時、真面目な人には自分一人で一生懸命この事態を解決しようとする傾向があります。実は、この一人で悩むことが度を越すと、症候群の入り口に近づく人が出やすいのです。

 そこで一つの方法として、他の人と話せる環境を作ってあげることです。

 組織的な対応としては、真面目な人ほど一人で悩む傾向があることを事前に予知して、一定の人数に対して相談に乗ってもらえるメンター的な人をつけて対応する方法があります。メンター的な人には、相談がくるのを待っているような人でなく、場の雰囲気を察知して自らメンバーに声掛けが出来、普段から周囲への気配りが出来る能力のある人を選ぶべきです。

 組織的な対応に無理がある場合は、その人のことを分かってくれ、何かの時に相談に乗ってくれる友達群を、候補として上司が常に頭の中で用意しておくのも方法です。上司は何かのサインを察知した時に友達群をすぐに動かし、彼が一人で悩まず人と話せる環境を整えてあげることができるのです。

 

3.褒めてあげることです

 これも上司が意識すれば出来ることです。真面目な人に対して、彼のミスを叱り続けると、本人は自分を責めやすい。失地回復のために頑張りすぎて、ある日突然、いわゆる「プッツン」的現象を起こし、気力を失いやすいのです。

 自分の強みに自信を持たせることです。何かが起こっても彼の普段の仕事振りを評価して、「これでよいんだよ!」と、その人を褒めることで上司がサポート出来ます。自信が本人の心の強さに通じます。

 

4.超多忙な状態を回避することです

 これも真面目な人に起きやすいのです。言われた仕事を何としても自分で片づけたい一心で、超多忙をいとわない人が時にいます。組織に貢献したい一心での行為であったとしても、この状態を長く強いるのは、本人のためになりません。

 組織としても不健康です。上司として、一刻も早く特定の人の超多忙さを解決しなければなりません。人材の補充です。組織的に他の人でも代替できるようなシステマティックな仕事のやり方を考えていくのも方法です。特定の仕事と特定の人がバンドルされた状態は、これも組織として不健康であるとの認識を持ち、解決のためのステップを即踏む必要があります。

 

5.組織としての気晴らし的遊びを持つことです

 気晴らしや、息抜き、気分転換ができるよう仕事の中での変化を体験できるのが一番です。このためのイベントや祭りも大きな効果を上げます。

 私も経営の一環として、組織としての「遊び」部分を重要視していました。合理主義の権化の視点からすると、これは問題かもしれません。しかし、人も組織も遊びが無いと長続きしません。また、「遊び」がないと全体の効率が中期的には落ちることになるのを体験しました。社員が普段のルーチンを忘れて騒げるイベントや環境を変えての朝礼等の工夫が、社員の気分を変えることにつながり、組織としての安定にもつながりました。

 以上、組織の問題として対策を述べましたが、個人としても気分転換の方法を普段から考えておくことです。

 瞑想で多忙から抜け出すのも方法です。個人的なことですが、自分自身もこれをやっていました。ある程度瞑想法が進むと、経営者としての心のわだかまりが消失して安堵感が深まっていく感じを個人的には体験しました。

 また、一人で物事が完結するのでなく、沢山の人を巻き込んで行くことになるので、他の人のサポートに感謝をする気持ちを持つことも努めていました。自分が社長業の仕事を出来たのも、他の社員の助けがあってこそとの感謝の気持ちを持つ、この感謝の気持ちを心から感じつづけていました。

 皆様、ご参考になりましたでしょうか?