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わくわく元気

企業風土こそ重要との海外での主張(2)

Posted on 2013-09-12

前号の続きです。

 

何をどうすれば良いか?

内容に賛同されたら、そのような企業風土をどう作れば良いのかとの疑問がわくのが当然です。私の場合は全体を体系化して、それを人間で言えば骨格の部分と内臓に相当する部分に分けて、「農耕型企業風土づくり」の方法とステップを明示しました。現場を巻き込みこれを一体として取り組まなければなりませんが、ここで『一緒に仕事をしてよかった』からの内容を紹介します。

 

社員が支持する強い企業文化

この本の中で、社員が支持する強い企業文化を気づくには、以下の7点が必要であると記載されています。

1.危機を定義する。

  リーダーはミッションを明確に定義し、そこに危機感を吹き込まなければならないとしています。

これは私の体験から実に重要な点だと思っています。特に私が任された会社は実質倒産状態でしたから、一生懸命会社の将来の方向性を考え、皆にミッションを与え、そのミッションを皆で達成しなければ会社の存在自体が確実に危うくなる危機を定義し、説明していましたが、彼らの主張とピッタリです。

 

2.顧客に焦点をあわせる。

  社員がその時点で正しい決断をし、自主的に動くには顧客に焦点をあわせることとしています。

この点も私の経営体験と全体体系図どおりです。会社の施策や組織を顧客に焦点を与えたものに徹底し、現場に権限を持たせて現場の社員が自主性を持って動ける環境が大切です。

 

3.俊敏になる。

  変化への対応力が高いこと、将来を見据えてマネジャーは動くことと主張しています。

私の場合、最初はなかったのですが、経営していた途中で気づいたことがありました。「あなたの会社の企業風土は?」と採用などのときに聞かれることが多かったのです。そこで、社員が皆同様な内容を答えるようにと、それまでいろいろな方針説明で説いていたことを整理しました。企業風土としては「SOSFCCQ」と整理しました。このうちのSは俊敏性のSpeedで、もう一つがSimpleでした。ものごと、100%はわからないが、動くべき時に動くという企業風土を目指してこれを構築していきました。

 

4.すべてを共有する。

  厳しい事実でも社員に伝え、議論することで信頼関係が育ち、開かれた企業文化が築かれますと説明されています。

私は、「価値の共有」という表現をしています。情報は基本的に全て開示し、判断にいたるプロセスも開示する方針を貫いていました。秘密主義から良い企業風土は生まれないとの確たる信念があったからです。

 

5.部下の才能を見出す。

  マネージャーは社員を真のパートナーとして扱い彼らに成長の機会を与える。

社員をどう育成するかです。場を与え機会を与え経験をさせる。そのための方向性のガイドラインを与え、その範囲内で自由闊達にマネジメントする機会をマネジャーに与えることで、社員の隠された才能も開花し、早く育つのを見てきました。

 

6.互いに応援し合う。

  同僚同士がお礼を言い合うことで団結心と正しい行動を実践する一途さが育まれるとしています。

私は、いい仕事をするには、より良い人間関係が決め手だと思っています。これに気づくには、チームの中で自分の主張をしながらも全体最適に自分がどう振る舞うべきかを自ずと学ぶことです。「対話」の重要性も強調しています。

 

7.責任を明確化する。

  社員が目標を達成するには、責任と手段、成功した時の見返りを与えるとしています。

何をしたらどうなるかについて、出たとこ勝負でなくあらかじめ約束事として皆に明示することにしていました。特に皆で稼いだ利益の分配については、ある段階からあらかじめ分配ルールを決め、社員がメリットを享受するようにしていました。

 

上記の7点に加えて、社員が喜んで全力を果たす組織を作る方法として、社員の思考を刺激する質問をすることとの記述もありますが、これも私が全体構造の内臓に相当する部分で「適切な質問をする」ことの重要性に触れ、自ら考える風土作りを目指すと主張していることに通じます。

 

企業風土を造るには相当な努力が必要です。しかも、経営層は当然として、全社員を巻き込み、たゆまぬ努力をすることが必要です。それでもある段階で所定の企業風土らしきものができてからの経営は、非常に楽しいものです。社員の幸せのために行う施策が、結果として顧客、株主、金融機関の利益にも通じるものになるのです。皆が得をする「三方一両得」の経営になるのです。

これまで『一緒に仕事をしてよかった』の本を引用しながら、良い企業風土づくりに必要なポイントやその造り方の要点を述べてきました。 ここで忘れてはならないことがあります。信頼ということです。組織の中のあらゆるところで信頼関係は不可欠です。口だけでなく本心からの信頼関係が樹立できれば、企業風土は確固たるものになります。

私の著書、『これからの課長の仕事』でも述べましたが、私も経営者として社員との信頼関係が「できた」と思った瞬間を明確に記憶しています。一生懸命経営をして社員の幸福のために努力をしていたら、社員がそれを認めてくれた瞬間です。基礎ができたので、それ以後の経営は上モノをどんどん建てても決して崩れない磐石なものになりました。

「園山征夫のビジネスコラム」の中でも、信頼関係の重要性についてくどいくらい触れています。これさえあれば、大抵のことは成就できると思うからです。『一緒に仕事をしてよかった』の本の著者が一番主張したかったことは、信頼関係ではなかったかと思うので、今回はそれを紹介します。

著者は、第1章の冒頭にある事例をあげています。

1959年6月30日、2万5000人の観客が見守る中、フランス人の軽業師「偉大なブロンヂン」(ジャン・フランソワ・グラフレ氏)が、ナイアガラ瀑布に張った直径8センチのロープの綱渡りに成功した記憶に残る一日のことを記述しています。

何回も成功するうちに、軽業師が「手押し車を押して綱渡りをしたいのですが、どなたか乗りませんか?」と、半ば冗談で質問したところ、場が静まりかえりました。命知らずの綱渡り、しかも、ナイアガラ瀑布、さらに、手押し車に乗せられては成功の確率は疑問なることは誰にもわかります。従って、静寂。その時、軽業師のエージェントの男が名乗りをあげたとの内容が記載されています。口先だけでなく、本心から信頼を寄せてくれる人がいたのです。軽業師は深い感銘を受けたと書かれています。

本当の信頼とはどういうものかを非常に端的に表現しています。しょっちゅう違うことを発言しているようでは信頼の序の口以前です。1000回の浮ついた言葉より、たった一言で人間の心が動かされる瞬間を見る感じがします。

 

企業風土こそ重要との海外での主張(1)

Posted on 2013-09-05

 ここ数カ月あまり生産的でない事件のために浮かない日々が続いていました。ところがある日、中央林間のある本屋さんで私にとって決定的な本に出会いました。それ以来毎日「わくわく元気」な日々を送っています。是非、この事実と本の内容を「園山征夫のビジネスコラム」の読者の方々にお伝えしようとはしゃいでいる次第です。

 

ある出会い

 『一緒に仕事をしてよかった』という奇妙なタイトルの本を見つけました。2013年8月のある日です。

 日本経済新聞社から2013年5月に発刊(匝瑳玲子氏が翻訳)されたもので、Adrian GostickとChester Eltonの共著です。彼らはカルチャー・ワークスの創業者であると巻末の著者紹介に記載されている如く、職場環境をテーマにした本を多数出している方々だそうです。私がはしゃいでいる理由は簡単です。その本が『これからの課長の仕事』(2011年9月)『これからの社長の仕事』(2012年1月)(両著はネットスクール出版)の中で私が主張している経営手法と実質同じことを述べているからです。

  多少の違いはあっても、経営の、人の心の琴線に触れる部分が如何に重要であるかについては本質的な違いがないことを、この本からも確信しました。あわせてこの本の内容が期せずして、『「農耕型企業風土づくり」を通じて企業を中・長期的に発展させる経営手法こそが今求められている』こという私の主張を、海のむこうから側面サポートをしてくれる資料的役割を果たしてくれていることに感謝します。

 実に嬉しいことす。海外で主張されていることを鼻高々で日本に導入する学者もいますが、私としては、私が日本での経営について全く独立に主張していたことと同じ主張をする人が、期せずして海外にもいたことが素直に嬉しいのです。しかも相当のデータも補助資料として開示されています。私の主張全体を理論的背景としながら、個別のフェーズに関して各種コンサルティングやコーチングなどで活用するバックボーンにするための有益な援軍となる本だと勝手に位置づけしています。

 

好業績をあげる企業文化のポイント

 ここで『一緒に仕事をしてよかった』で記載されているポイントを皆さんとシェアしましょう。この本のポイントは、好業績をあげるカギは、リーダーやマネジャーの努力以外に何かあるはずだ。それは企業文化にあるというものです。

 彼らは企業文化と翻訳しています。私の言う企業風土は多少東洋的ですがほぼ同じと考えて結構です。これこそ企業が競争優位に立つための「最大の差別化」になるという私の主張と同じことを述べていると思います。

 引用しますと、「ゴールドマン・サックスのジョン・F・ロジャーズ主席顧問は、企業文化のきわめて重要な役割についてこう述べている。『わが社の社員は競合他社の社員と同じ飛行機に乗って移動します。宿も同じですし、クライアントも重なっている場合が多い。だとすれば、仕事ぶりと企業文化を連動させて競合他社と差別化を図るしかない。だからこそ、わが社独自の企業文化が必要なのです。企業文化こそが、私たちを結びつけるものなのですから』。私たちは彼の言葉に感動した――企業文化こそが他社と差別化し、私たちを結びつけるものなのだ。」

 好業績をあげる企業文化には以下の3つの要素が揃っていると、かれらはその著書で主張しています。

 まず、第一に「愛着心」です。愛着心を持った社員は自発的に努力をする意思を持っており彼らは組織のミッションと価値観を重視すると。

 第二に、「活躍の支援」と表現するものです。社員が活躍するには、障害を乗り越える上で必要な情報、適切な備品や設備を与える必要があると。

 第三に、「活気づけ」です。会社から活気づけられることで、社員は自分が高く評価されていると感じ、やる気になるというものです。

 

私の主張との類似

 言葉は少し違いますが、『一緒に仕事をしてよかった』の中での主張の内容は、「農耕型企業風土づくり」で企業を中・長期的に成長発展させる「フォーミュラ」や「定石」などで私が主張していることとほぼ同じです。

 第一の「愛着心」ですが、私は愛着心を持つために、喜びも苦しみも分かち合う「湿り気のある人間関係」をつくる(定石 7)ことを強調しました。「湿り気のある関係」が米国人にどう理解されるかを彼らと一度議論してみようと個人的にワクワクしています。

 第二の「活躍の支援」です。私は「『場』をあたえる」(定石18)ことを重視しています。社員が活躍できるようにシステム化すること生産性アップを援護するのは当然として、彼らが持てる才能をふんだんに発揮出来る「場」を用意することがポントと見ました。私の本の中にいろいろな事例を記載しています。

 第三の、「活気づけ」ですが、これをいろいろな形で実現しようと私は主張しています。経営理念の浸透を惜しまず(定石6)、経営者と社員、社員間の信頼関係をつくり(定石3)ながら、いろいろな仕掛けを使って社員をわくわく元気にするものです。

 結論から言えば、「社員が幸せになる」ように各種施策を実行することで、経営理念への本心からの賛同や、良き人間関係を通じて社員の愛着心につながり、彼らが会社内で自己実現を出来るような支援を施し、各種「仕掛け」を通じて社員を活気づけてモラールアップさせる方式です。表現の違いはあるにせよ実質同じ内容です。信頼関係を基礎としたオープンな企業風土を造ることです。

 

 データでの証明

 『一緒に仕事をしてよかった』の本の中に面白い情報が開示されています。私はこの本を読むまでその調査がなされたことを知りませんでした。

 アメリカ国内とは言え、経験値のみでなくこのようなデータがあることに、実は武者震いしました。日本国内でこのようなデータを集めようと考えていた矢先だったからです。実証実験をして、いろいろなワークショップでの議論に役立てたいと考えていたからです。

 その調査とは、タワーズワトソンによる大規模調査です。「好業績企業の内部は如何に機能しているか」に関わるワークフォーススタディーの調査です。私自身まだ調査の実際の内容を見ていませんが、是非、内容を吟味してみたいと考えています。

 調査は2009年から2010年の2年間かけて700社、約800万人分のデータを集積し、好業績を誇る25社(社員約30万3000人)を抽出したと記載されています。「その25社の財務成績は競合他社より2~3倍の差をつけており、世界でひとにぎりしか存在しない高業績企業の中でもトップレベルである」とも記載されています。

 この調査から「以下のような大きな発見があった」とこれまでの主張を調査分析で裏付けています。要約しますと、

1.企業文化が、会社へのコミットメントとさらなる努力をさせる高いレベルの社員の愛着心を創出していた。

 2.企業文化が、生産性と職務遂行をサポートする環境を整え、社員が活躍を支援されていると思えるようにしていた。

 3.企業文化が、社員が仕事を通じて幸福感とやる気を感じられるように活気づけていた。

 上記の内容は私の経営経験ではごく当然なことですが、これが信頼性のあるデータで裏付けられていたことに本当に身震いがしました。

 今後、日本でもこれに関連するデータを集積の上、本質的なものを抽出していく予定です。ぜひ、皆様のお力をお借りしたいとお願いします。

 

 

定着率を上げ、離職率を下げるために

Posted on 2013-05-16

函数の帰結

 「定着率と離職率は、社員の働く幸せ感、喜びの函数」です。

 これは私の20年の経営経験から得た結論です。

 離職には個々人のいろいろな理由があるにしても、社員に根源的には「わくわく元気」な環境をどれだけ作れるかに関係しています。

 私は「農耕型企業風土」づくりの「フォーミュラ」の中で、企業が中期的に成長・発展するためには、社員の幸せ環境作りが先決で、企業の成長と社員の幸せとの関係で原因と結果を逆にすべきでないと説いてきました。

 スタートは社員の幸せ環境作りにありです。

経営者の姿勢

 社員の幸せ感を醸成するには、経営層の責任でまず働き甲斐のある職場環境づくりをすべきです。この環境とは会社の諸制度、仕組、評価等すべてを言います。

 会社がうまくいかないのは「社員が仕事をしないからだ」等の言葉を経営者から聞くことがあります。

 しかし、原因を他人のせいにしてもリーダーとしての甘さを露呈するのみで、全く発展性がありません。経営層が社員を育てようとする姿勢が欠如していることと裏腹の関係であると私は見ています。

 やりがいのある仕事をさせれば、社員はさらに士気を高めレベルの高い仕事をする方向に向かいます。結果として、顧客は満足し会社の業績も伸び、社員の金銭的メリットも増加する関係となります。

 特に、社員数が少ない企業においては、会社の成長はまさに人、社員次第ということになるのが鮮明に見えてきます。

留意すべきステップ

 ここで留意すべきは、手順、ステップです。

 私の著した『これからの社長の仕事』でステップを明示しましたが、意外に短絡的な方法を選ぶ経営者が多いのに気づきました。いろいろな課題が吹き出し会社が経営上厳しい段階で、会社が「社員がどういう時に幸せ感を抱くか」のことを優先的に考えず、いきなり顧客満足の実現をスタートとして取り組むとどう展開するかを経験しました。

 顧客に良いサービスを提供するという大義名分のために、往々にして、最前線の社員に負荷が過大にかかることになります。教育もしていないのに最前線の社員に過大なスキルを要求し、レベルの高いパフォーマンスを要求していくことになりやすいのです。

 一時的にはこのことで上手くいきますが、結果として、最前線の優秀な社員の「燃え尽き症候群」が起きて悪循環をきたし、このステップが破たんすることに気づきます。気づいた時にはすでに社内の混乱が輪をかけて進んで行ってしまうという悪いパターンになるのでご留意ください。

 まず社員の幸せ感のことを十分考慮の上、適切なステップを踏むべきです。

「わくわく元気」感には「心」の問題が大きい

 人はどういうことで「わくわく元気」感を持つのかも配慮しなければなりません。

 金銭的報酬もある程度必要です。

 でも、あるレベルを超えると、「心」の面に対する面の方がはるかに大事です。仕事に対するモチベーションです。朝起きて会社に行きたくなる「わくわく元気」モードになるには、心にどう配慮するかがポイントとなります。

 日本人なら誰でも、どんなポジションの人でも人の役に立っているか否か、仕事を通じて自分が成長している感覚を抱けるか否か、仲間と一緒に仕事をして楽しめるか否かを基準に「わくわく元気」度が大きく変化するはずです。

 「人の役に立っているか」には感謝の気持ちを伝える声掛けに私は努力していました。小さくとも、本心から「ありがとう」が大事です。部下からの週間報告書に、自筆でメモして私の感謝の気持ちを「見える化」することも務めていました。

 実力より少し上の仕事をさせることで本人の成長感につながります。新しくマネージャーに任命された人には、「暫く、ボケッとしていなさい。現場のメンバーにいきなり口出ししないで、暫く仕事の様子を見ていなさい」と、上司が余計に手出し、口出ししないことも、注意していました。

 仲間との絆の出発点は上司と部下の信頼関係が基本です。これは毎日の積み重ねで、しかも仕事を通じて勝ちうるものです。部下からすると、先に述べた「心」の部分に対するストロークを送られ続けているか否かに関係していくと思います。

 これさえあれば、仕事のことで叱られても、本気で叱られたか、パフォーマンスで叱られたかがすぐにわかることになります。自分を成長させようと考えての叱りは部下から尊敬されます。

 上司や仲間と一緒に仕事をして、良い人間関係の中で楽しく仕事ができることが肝要です。

 

「わくわく元気」に仕事をしていますか?(2)

Posted on 2013-03-08

前回の続きです。

「わくわく元気」になるために

 「わくわく元気」に仕事をしていますか?朝一番、今日も会社で楽しい仕事が待っているとの思いが起きていますか?組織など他の環境要因が影響を与えることで、自分の理性的行動にマイナス影響を与え、あなたの気持ちが滅入っていることがあるかもしれません(これについては別稿で触れる予定です)。

 そのような外部のマイナス要因があったとしても、皆さんが少しでも「わくわく元気」な状況をつくるために、自分の行動をどう意識して改善したらよいでしょうか。

①なんといっても「ストローク」です。

 「おはようございます」と相手の顔を見て声掛けしてみてはどうでしょう。あるいは、部下に対して「今日の提案は切り口が素晴らしかったね」など、本心で部下にポジテイブな「ストローク」を送ることです。相手が「わくわく元気」になるのみならず、自分自身に「わくわく元気」感が跳ね返ってきます。

②嫌なことに笑顔で対応することです。

 何事にも泰然自若として動ぜず、ニコニコ笑顔を振りまくことであなたの脳の感情に影響する部位が反応してプラス思考になります。

③脳の思考モードを前向きな「WHY」モードに切り替える努力をすることです。

 これはある部分、行動習慣で解決できます。何かの課題に対して、自分を客観視しながら「WHY」から脳に入るモードにすることで、前向きに解決策を考える行動習慣が脳に定着します。常識や普段からの考えをある意味で疑うことにも繋がりますので心の循環が良くなります。

 また、誰にでもピンチはあるものです。この時、「Why」から入り「こうやれば上手くいくかも・・・」と「How」に転換させることで脳を前向きのプラスに回転させるよう組み立てれば良いのではないかと思います。

時間を有効に使うために、やらないことを決めていくことです。

 頭の中が沢山の「やらねばならないリスト」であふれているとしたら、「わくわく元気」になれるわけがありません。自分の時間管理をしっかり実践していくことです。

 問題はそのためにどうするかについて私自身のことを例に挙げます。

 私自身は、自分が集中的に取り組むべきテーマを決めることにしています。そのテーマから外れたことは、ポスト・イットを捨てて「やらねばならないリスト」(私はポスト・イットを利用しています)から外しています。

 仕事の中でやること、仕事以外でやること沢山あると思いますが、普通の人が本当に集中できるのは年間に直すと、せいぜい3~5件ではないでしょうか。私は今4件です。若い人はもっとあってもよいかもしれませんが、私の齢ではこれでも多いくらいです。

例として、

a) 現在会長をしているネットスクールを「胸のはれる会社」に成長させること。

 「胸のはれる」要件定義には時代背景でいろいろ違いがあると思いますが、会社の共有すべき価値を早く定義して社員全員の共通理解を醸成しようと思っています。醸成のプロセスを通じて解決すべき課題が浮き彫りになり、その解決策から3~5年後の会社の姿を描くことにつながるからです。

b) 「わくわく元気会」の部会を増やし、若手の経営層に多面的な勉強をしてもらうこと。

c) 庭師としてのレベルをあげること。

d) ゴルフを少し上達させること。

 一見仕事に力を入れていないのではないかと見えるかもしれませんが、私は上記のa)、b)とc)、d)の時間をON/OFFに区分しないと仕事が上手くいかないタイプです。遊びというか趣味に一生懸命になることが、仕事に良いモードやリズムをもたらすことにつながっています。

⑤1日の終わりに「考える」時間を必ず持つことです。

 1日を振り返るのです。出来たこと、できなかったこと、どうやったら更に上手くできるかなどを振り返ることにしています。ただし、夜中は人間的部分が動物的部分の面倒を見ない傾向があるがゆえに悲観的になりやすいそうですので、このことには留意しています。

 個人が成長するには「学習する」ことが必要です。この学習を通じて自分の成長が予感されると、次の日「わくわく元気」感がわきます。また、その過程で教えていただいた方々、ヒントをいただいた方々に感謝することにしています。この結果、脳の構造の感情の部分の善循環につながります。

組織としての「わくわく元気」感

 上記はあくまで、個人が「わくわく元気」になるためですが、実態として組織としてどうするかが問われることも多いです。もし、組織がわくわく元気になっていないとすれば、次のような現象が出ているはずです。

  • 適性と仕事が合っていない、適材不適所の場合です。
  • 仕事に自由度や自主性がなく仕事に「やらされ感」がある。
  • 経営陣の言行不一致があるように映り、経営陣に対する信頼感が欠如している。
  • 経営陣が会社を私物化している。
  • トップの指示型組織の悪い部分が出すぎて、社内の一体感が欠如している。従わない社員は去ることを半ば強要される雰囲気が蔓延し、結果、イエスマンのみの集合体になってチャレンジする気風がなくなっているなどなどです。

  別稿「あなたの会社は活性化していますか?」で、その対応について書く予定です。ご参考にしてください。

 

「わくわく元気」に仕事をしていますか?(1)

Posted on 2013-02-28

「わくわく元気」になる「フォーミュラ」

 いかにして社員を元気モードにするかはどこの会社でも重要課題のはずです。昨年発足させた「わくわく元気会」の名前を付ける時の経緯を思い起こして、社員がさらに元気になるヒントをまとめてみました。

 私は、「いろいろな施策で社員を幸せにすると、本人(社員)の心理と脳への特定の働きかけにより社員のモチベーション、創造性、革新性が高まってイノベーションをもたらし、本人と会社を成長に導く」という「フォーミュラ」を開発し。これを強調しています。

 曰く、「農耕型企業風土」づくりを通じて企業を中・長期的に成長発展させる「フォーミュラ」です。

 この「フォーミュラ」を分解すると…

  1.  「対話をする」、「場をつくる」などのいろいろなステップを踏んで社員を幸せにする努力をします。つまり、一見非合理的なことにも配慮の上、経営上の「仕掛け」「仕組」をつくります。
  2.  この社員を幸せにするステップが本人の心理と脳への特定の働きかけにより、社員のモチベーション、創造性、革新性を高めイノベーションをもたらします。
  3.  このように個々人の社員の心を「わくわく元気」にすることが、チームプレイ人間関係を重視する環境と相まって個人の成長のみならず、組織集団のパワーアップをもたらし会社の成長に繋げていきます。

 社員の心の動きと良き人間関係が相まって個人と組織の力をつけることにつながります。

 重要なことは、社員を幸せにすることが「原因」で、「結果」として会社が成長する「フォーミュラ」でした。通常、経営者は逆に発想しがちですが、私は敢えて原因と結果の流れを逆にしました。

 約20年間の経営体験を通じて、この「フォーミュラ」を実践に移すことを通じて会社が中・長期的に」成長していくステップを実体験しました。

心の問題

 社員の心理の部分が重要です。社員が幸せになるという価値観は多様です。

 しかし、ビジネスに関係する人にとっては、少なくとも社員のモチベーション・マネジメントの恩恵を受けて、組織の中での社員自身が「わくわく元気」になる状態にすることです。

 すなわち、社員の脳をポジティブに活性化させ、自主的に新しいことに挑戦するモードをつくることです。

 社員のモチベーション・マネジメントの関係で人間の脳の働きについても少し勉強しました。

 人間の脳の構造についてはいろいろなところで脳の部位との関係の説明がなされています。脳の中の理性、感情、情報の3つが複雑に関係して人間の心を動かし、行動に影響を及ぼしていると私は思っています。その意味で脳の特定の部位とその働きが人間の心とどう関係しているかがずっと興味のあるところでした。

 大脳の旧皮質の部位は「動物の脳」と言われるほど我々の生命力の根源だといわれています。この部位はある意味で動物的であり感情に影響することになります。

 大脳新皮質の部位は「人間の脳」とも言われるほど理性と関係します。サルなど他の動物は理性を持ち合わせず、人間のみが持つ特性です。

 また、間脳で過去の情報を蓄え、時に消去しながらその右脳部位で膨大な記憶を操っています。経験情報のデータをもとにした自己の行動に影響することになります。

 情報をもとに理性と感情の関係が重要になります。人生を豊かにするにはこの脳の働きに関して情報を通じた体験をもとにして、個人の動物的な部分も含めた感情をうまくコントロールし理性的に行動することが必要となります。このことが結果として、その人を「わくわく元気」にすることにつながっていくからです。