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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

海外でのビジネスこそストレスに強い人材を(1)

Posted on 2015-01-29

 昨年の秋、友人の誘いでマレーシアに行ってきました。ゴルフ中心の1週間余りの短い滞在でしたが、現地の雰囲気や現地の人から見聞きするうちに、日本にいる優秀なビジネス人材が、今後どこで活躍するチャンスが多くなるかについて、実感を伴った確信を得て帰りました。

 

ビジネス上、魅力ある地域アジア

 今や海外に住む日本人は、2011年10月時点で118万人と5年前に比較して11%伸び、北米に45万人、アジアに33万人在住していますが、アジアでは5年前に比較して19%伸びたと、ある報告書に書かれています。この数字はビジネスマンのみではありませんが、これまでの傾向からすると、大多数がビジネスに関係する人とみて間違いはないと思います。

 この傾向が強くなる背景の一つに、為替レートなどの問題を除けば、そもそも制度上の理由から日本でビジネスを展開する魅力が薄れているとみられないでしょうか。

 政府は、消費税ばかりか所得税の率を現在の最高税率40%を、平成27年分から45%に引き上げることに決めました。これに住民税を加えると、一般の日本人の税負担感は、非常に高い状態です。今年から相続税の最高税率も引き上げられる、税計算の控除額も縮小されます。日本にとって一番増やしたい層、いわゆる中間層を狙った税金の増収策としか考えられません。

 法人税についても、最近これを漸減する案が出てきているにしても、未だに海外の各国と比較すると、日本の税率は高く、法人の実行税率が40%位になっています。他方、マレーシアの隣のシンガポールでは17%、加えてこの地ではエンジェルが多く資金調達が容易で、ビジネスをする企業にとっては魅力的な国です。シンガポールは総人口543万人の内、外国人が38%、都市で言えば、ロンドンが50%超、ニューヨークが34%と言われているのに対して、東京の外国人比率は3%です。

 これらの数字の一面に、どこでビジネスを展開したいと思うかのビジネスとしての制度上の魅力度が出ていると、言えないでしょうか。相対的にみて、日本は税制上、魅力に乏しいのです。

 また、ビジネスにとって重要なのは労働人口です。日本ではついに労働人口が8,000万人を割りました。世界地図上、労働人口が集中する場所も変化してきているデータがあります。世界全体では労働人口が2010年から30年までに8.4億人から約8億人に減少するのに対して、アジアの南を含めた新興国ではこの間、10億人増えて46億人になるとのことです。

 当然、労働人口が集中する場所の変貌により、新しいビジネス、革新的な事業が生まれる場所も変化することになります。

 各国政府の政策展開により浮き沈みがありますが、労働人口が増加する中国、インドなどのASEAN各国、ブラジルなど地球の南側に、ビジネスチャンスのトレンドが移行してきています。このような国では、高い利益率をもたらす案件も当たり前なのに、日本では数パーセントの税引利益を出すのに四苦八苦している企業が多く、大きな違いがあります。それほどASEAN主体とした地球の南ではビジネスのチャンスが多いのです。

 これらの地域には、ビジネスのチャンスが多いことを嗅ぎ付け、有能で高度なスキルをもった人材が世界中から集まってくる善循環をもたらしています。この結果、この地域では新しいビジネスを生む環境が他の地域より増すことにもなります。

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