園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

企業の魅力

就職にあたり学生は何故こんな会社の選び方をするのでしょうか?

Posted on 2012-05-24

 なぜ、彼らは大手や安定した会社をねらうのでしょうか?他の選択肢に魅力を見いだせないのでしょうか?

 右肩上がりの時代と団塊の世代の思考

 時代背景を少し考えていただきたいのです。

 特に、団塊の世代が育った高度成長の時代の発想と10年間以上経済が停滞気味の世の中で生きてきた今の学生の発想が違うのが当然であることを、特に、私も含めた団塊の世代の方々は理解することです。

 すなわち、私が学生から社会人になった時代は、あらゆることが右肩上がりに展開していました。住宅が新築で高層になり大きくなり、個人の部屋が持てるようになる。トイレが綺麗になる。家電製品が入り自動車も自宅に駐車される。家の前の道路が新しい舗装をされる。近くに図書館が整備されるなどなど。

 とりわけ、給料が毎年上がり、ほとんどの物の価格が右肩上がりで、よもや何かの価格、特に給料が下がるなどとは、よほどのことがない限り思考の中にありませんでした。

デフレの時代にもチャンスあり

 ところが、今はどうでしょうか?

 今、会社の中堅層は、物心ついて学生、社会人になってから、いろいろな場面で値段が下がる現象を日常的に体験してきているのではないでしょうか。デフレの時代がここ10年以上続いており、その渦中に身を置いているので、彼らの発想自体がデフレ環境の影響を受けているのかもしれません。こう考えると、彼らが可哀そうになります。

 しかし、希望を持ってほしいと思います。

 たとえ、彼らが15年~20年間の失われた時代を生きていたとしても、これをもっと長い100年単位のスパンで考えると、彼ら自身の今の挑戦が将来の日本の礎をつくることにつながります。「あなたも坂本竜馬になれる」と激励してやりたい思いです。

チャンスを活かせる魅力的な選択肢の提供

 今は小が大を飲む時代です。たとえ小さくとも、すばらしいアイデアを持った会社が沢山あります。

 規模は小さくとも、立派な考え方を持った経営者が世の中には沢山います。町工場で設備環境は見劣りがしても、挑戦ができ、自分の特技を活かすチャンスのある企業が沢山あります。他方、私利私欲を肥やすことを主眼に発想している経営者もいることは事実です。

 そういう中、自分の考えていることを実現できそうな企業に就職することを考えてはどうでしょう。「自分がこの会社を大きくしていこう」という発想を実現できる会社が沢山あります。世界に雄飛できる可能性を、あなたの変革力で実現させてください。

 そのような会社を選択肢の一つに考えては如何でしょうか。もちろん、企業風土や価値観が一致しているか、その企業が企業倫理や道徳を忘れてはいないかなどを見分けるべきです。自分で調べる以外に社内の人との接点を持つことで少しは見わけがつく部分もありますが、最後は、その会社の社長の考え方を直接聞くことです。

 2012年4月6日、Facebook友達の鈴木徹司氏が、彼の行政書士事務所で採用した新卒2人の入社時の写真をウォール上に掲載されていました。皆、緊張しながらも嬉しそうな顔をしていたのが印象的な一枚でした。

 「この日、大阪より一足遅れて東京にて入社式が開催されました。 新卒入社・中途入社あわせて7名の入社式です! 皆の真剣なまなざしやあたたかい笑顔が素敵ですよね!^^ 強力な新しいメンバーを仲間に、SGはさらなるステージへ突き進みます! みんな、頑張ろう!!」の書き込みに対して、私は、「何しろ新卒が入社するようになるということは、会社としての骨格ができてきていることの証明だと私は思います。」とコメントし激励しました。

魅力ある会社づくり

 実は、私が経営責任を負っていた会社でも、最初は優秀な新卒が入ってくれませんでした。新卒にも魅力のある会社にすべく社内改革に努力し、彼らに情報をどんどん発信していきました。ある程度の人数の優秀な新卒を採用できるようになってから会社のパワーがうんとつき、彼らが私の目指す企業風土づくりの担い手になってくれました。

 また、会社を「わくわく元気」にするためには新卒という人材の存在が不可欠でした。会社も成長しました。彼らもまた自己実現を目指して成長しました。

 就職するにあたって学生の皆さんには、会社の規模よりその企業に意気を感じるものがあるのか、挑戦できるか、価値観が自分の考え方に近いのかなどを考慮して欲しいのです。他方新卒が魅力を感じ、就職先の選択肢として選んでもらう為には、ここで紹介した鈴木氏をはじめ、経営者側の努力と責任が非常に重くなります。

 特に、魅力ある会社づくりをするということは、新卒という社員を幸せにするために、また、自分の会社が成長するため必要なことだと考えます。