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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第163回 自社の価値を知る

Posted on 2015-07-09

 先般、私が関係しているある会社の営業合宿に参加しました。7名ほどの幹部社員で営業を更に活性化するための合宿です。

 

自社の「売り」についての認識のズレ

 議論していくうちに気づいたことがありました。

 営業が「売り」としている商品自体の価値について、幹部社員の間に認識のずれがあることに気づいたのです。それぞれの部門が連動して初めて、その会社の商品は顧客に受け入れられるのに、このままでは会社の潜在力があるにもかかわらず、成長のスピードが遅くなるように感じて、営業合宿の目的に軌道修正の必要性を感じました。

 

データ分析から始めない発想

 自社の、あるいは自社商品の価値を見つけ、共通認識の下に全社をあげて営業活動をすべきとアドバイスをしました。とは言っても、自社の価値の見つけ方に関する手法を、参加メンバーの皆さんは体験したことがありません。

 そこで私から、一般的に使われている手法を紹介して、今回のこの目的に合致した手法を取ることをアドバイスし、それに沿って議論が活発になされました。

 そのアドバイスなしには、とかくデータの分析から始めがちになると感じたからです。私は、データのみからは新しい発想は生まれにくいと考えています。

 

顧客が感じる価値

 私は、顧客が何に魅力を感じているかを吟味することから、価値を見つけていく方が、むしろ早道と考えています。

 価値を認識しないままに目前の課題に取り組むと、非常に非効率で的外れな結果になってしまうリスクもあるからです。

 合宿に参加した皆さんは、優秀な方ばかりでしたので、目的とするところをすぐに理解し、さっそく修正行動に移ってくれました。

 

取った手法

 そのとき取った手法は、二つの手法の混合です。

 第一に、競合も含めた既存の商品や提供しているサービスと比較して、自社の商品の価値を発見する方法です。

 競合の数を沢山入れると混乱をきたしますので、3つぐらいに絞りました。しかも、いきなり価値を見つけようと焦ってカテゴライズせず、とにかく、これまで営業場面などで遭遇した、自社商品と他社のそれとの違いに関する事実を挙げていく作業に入りました。顧客の視点で良い所、価値を見つけることに役立ちました。結構あるもので数十になりました。

 第二に、その商品に関してのエピソードを洗い出す手法を取りました。新しい商品なので、事業展開や戦略をどうするかに関わります。顧客が試用品などを使われたときに、どんな反応が返ってきたのか、嬉しい話、厳しい話などのエピソードを捜す手法です。

 まだ発表したての商品であったので当然なことですが、エピソードが意外に出てきませんでした。少なかったのです。それでも、営業が訪問した顧客からの話の中からいくつかのエピソードを捜すことが出来ましたので、そのエピソードが出てくる背景や理由を、掘り下げて議論しました。

 

最後にカテゴライズの上、簡単に文章化する

 最後に、上記二つの手法で捜したものを項目ごとにカテゴライズしていくと、商品自体より、その周辺のサービス体制、開発体制なども含めた、会社全体の問題も浮き彫りにされました。

 結果として、顧客にとって、自社のその商品はどんな価値があるかを簡潔な文章にまとめました。文書化に当たっては、xmのxm化などの抽象的な言葉を使わないことに留意しました。言葉が抽象的だと、社員それぞれが勝手に自社の商品の価値を解釈し、全社員の共通の価値となりにくいからです。

 10行くらいのエキスになった文章になりました。実は、これこそ顧客が魅力と思う自社の商品の価値であることに合宿の最後で皆気づき、非常に有意義な会議となりました。

 

私自身が経営改革で取った手法

 私自身、以前関係していた会社で、のビジョンを策定した時に、

 ・この会社が何の手段で競合会社に勝負するか、

 ・絶対譲れないこの会社の「らしさ」や「こだわり」を何にするか、

 ・すなわち価値を決定した

 今回アドバイスで取り入れたと同様の手法を使っていたので、以前の実体験をもとに皆さんを導けたのが有り難かったのです。

 社長も発想豊かでチャレンジ力が旺盛、しかも学ぶ姿勢がある優秀な経営者です。社員もスキルがあり優秀です。今回の合宿で、皆が会社の価値観を共有でき、それを深堀することでこの会社が更に発展していく姿を見るのが楽しみです。

 

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