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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第257回 経営視点を変える(1)

Posted on 2017-10-05

いろいろな企業のアドバイスをしていて気づくことがあります。経営上、非常に重要な事なので今回このビジネスコラムで取り上げることにしました。

 

経営視点を変更

 持続的な成長を遂げるには、会社の成長過程の各ステージで経営視点を変える認識を持ち、これを実践していくことが時に必要であるにも拘らず、これを分かっている経営者が意外に少ないのが残念です。

 創業時の苦しい時を乗り越えた視点は、それはそれとして大事ではあっても、これにずっと拘泥しても解決できないことが多いということを教わっていないのです。経営者から過去の苦労話ばかりされても、直近に入社した社員からすれば、その苦労体験をもう一つ素直に受け取れないことが多いのもその一例です。

 私自身も会社の経営の過程で、この認識のギャップに気づき、過去の苦労話は社員に一切口に出しませんでした。それに代えて、苦労体験を踏まえてできた経営理念や経営哲学の内容を新しく入社した社員に説くことにしていました。これを聴いた社員が理念や経営哲学に沿って行動してくれれば、苦労話以上の生産性と成果に結びつくと分かっていたからです。現実、この通りになりました。

 業種態様は別としても、経営の過程でどの経営者も直面する経営の変化点があります。

 

急成長時の過負荷ステージ

 まず会社が急成長する時の変化点です。ある意味で、会社が成長するが故の危機ともなりえます。

 急成長のある段階で、社員が高い経営目標に対して、負荷の過重を感じ始める時です。もし、創業時の視点を当たり前として突き進む経営陣がいるとすれば、その間に大きな溝が発生することから起きやすい経営の変化点に留意しなければなりません。

 この場合、いくら「顧客が大切だ!」と経営陣が説いても、高すぎると感じるノルマを達成するために、「それどころではない!」という潜在意識と雰囲気が社員に蔓延し、結果として会社全体の収益性を下げてしまいます。必然的に、事業目標に対する社員の意識も希薄になり、結果として急成長の曲がり角を迎えることにもなりかねません。経営陣と社員との意識ギャップから、急成長のある時点で、危機を招きかねないのです。

 

成長からの鈍化、急降下時ステージ

 次に直面するのは、成長鈍化、もしくは、成長から急降下の時の経営の変化点です。そのまま放置すると会社の衰退と崩壊の危機に直面するので、この変化点の認識が重要となります。

 成長鈍化や急降下の原因はいろいろあります。

 例えば、環境の変化への察知能力が乏しく自社のビジネスの成長のギアとして潮流の変化要素を捉えることが出来なかったケース、世界的な金融危機などへの対応遅れのケース、新たなビジネスモデルの誕生により自社を取り巻く市場の激変に追いつかなかったケースなどなどの場合です。環境変化への備えや対応が不十分なため、その会社の存在が危機に晒されることになります。

 この場合、鈍化と急降下を防ぐためにどう立て直すかがポイントになります。

 自社のビジネスモデル自体が環境の変化に追いついていないがために急降下しそうだとすると、自社の経営の相当抜本的なことを必要とします。

 誰かがマーケットに新しいビジネスモデルの登場をもたらしたことで市場が激変した場合、特に重要な点は、そのこと自体は自社の急降下の「引き金」であって「原因」ではない、「原因は他にある」ことを経営陣自身が認識しなければならないことです。鈍感な経営陣が居座っていること、組織として俊敏な決断ができないこと、経営の優先順位に迷いがあること、社員のアンテナからの意見を吸い上げる仕組みが実質的に作動していないことなどなど、他に原因があります。

 

 

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