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「農耕型企業風土」づくり / 折々の言葉

日本文化と自然環境

Posted on 2013-08-29

 私はこの分野の専門家ではありません。ただ、経営をしていく過程で「日本的」な企業風土の重要性に気づき、これを推進するには少しでも日本文化のことを理解しようという思いで勉強しました。そして日本文化を議論する時に、どうも根底では自然環境が大きく左右するのではないかとの結論にいたりました。

 

島国と大陸

 古い時代には、島国である日本に海外からくるのは大変だったはずです。1万年前に日本列島が大陸から分離されてから、日本にくるにはまず船をつくらねばなりません。そのための造船の才能や風にのる工夫、船の中での沢山の人の統率など組織を動かす才能のある人々が日本に流れ着いたと想定されます。

 自然環境が異なると人間観も異なると思われます。著書、「これからの課長の仕事」の本の中の、「農耕型企業風土」関連で一部このことに触れました。

 大陸を考えてみましょう。そこでは大移動をしてより環境の良い洞窟を発見し、その中で生活を守る、敵から家族を守ることが必要です。以前アメリカの西部で原住民の洞窟遺跡を見ましたが、そこを中心にして一族の安全を守り生活を営んでいたことが容易に想像されました。古代ローマ人のケルト人やゲルマン民族の侵略は有名な事実ですが、強者は大移動を重ねて侵略の歴史を綴っています。

大移動や食料を求めた侵略については、司馬遼太郎著の「項羽と劉邦」を読んだときに「食料を求めて何故こうも侵略と大移動を繰り返さなければならないのか」と最初はストーリー展開に違和感を覚えたほどでした。勉強するうちに大陸の自然環境の悪さを前提として、このストーリー展開を理解できるようになった次第です。

 誰が誰を侵略してどの地域の食料庫を確保して優位に立ったか、食料庫を取られて味方が離散してしまったか等の記述の連続です。これらのことは、争いに備えることを人間観の根底に置くことにつながります。戦争や闘争が常態化し、民族の遺伝子の中にこれが刷り込まれているのではないかと思うほどです。

 

日本の自然環境

 ところが日本では、水や森が近くにあり、川で水をくみ、森で木の実をとる。あまり遠くに移動をする必要がありません。自然に営まれ、狩猟、採取、漁労を皆でする習慣になり、争う生き方が前面には出ません。誇るべき人間性にあふれた幸福な文化ではないでしょうか。

 西洋では争いごとをどう処理するかで民族主義や哲学が早くから発達しました。キリスト教、新約聖書にはモラルや道徳が書かれていますが、日本ではある段階までこのようなことは必要ありませんでした。604年になってやっと「十七条憲法」として最初に道徳規範が聖徳太子により打ち出されたほどです。 その根底には神道の自然崇拝、「大和こころ」と呼ばれるこの言葉が人々の生き方や道徳をまとめています。災害も含めて自然に任せればよいと我々日本人は自然を受け入れて得きました。

 先般皇居の中を散策してみました。広すぎて一部しか見ていません。迷子になりそうなほどの広さです。日本の首都のど真ん中にほぼ原生林に近い皇居があり、そのことに誰も違和感を覚えないのが日本人です。海外に行くと、都市の中心に長方形の広場と教会があるのが一般的な風景です。われわれは西洋の最初に神ありきでなく、混沌とした自然があることを前提にしています。言葉の文化の前に自然の営みがあることです

 

富士山

 葛飾北斎の「富嶽三十六景」(実際は46景)の半分が富士山をモチーフにした作品です。江戸が富士に守られているそのテーマが、セザンヌ、モネ、ゴッホに衝撃を与えたのでしょう。自らそのまま自然を受け入れるこの姿勢こそ「大和こころ」につうじることです。関東大震災の不幸も日本人の秩序正しい行動や忍耐強さが日本人を取り巻く自然と無関係ではないと考えます。

 日本人が生きて生活している自然環境の経営への間接的影響を確信している次第です。

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