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人間の本質 / 折々の言葉

人間の魅力と生き方

Posted on 2014-06-12

 私は最近、『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』という本を著しましたが、このタイトルにしたのは、「礼節」と「誠実」こそが人間としての最大の魅力であるとの視点で、ビジネスマンのリーダーシップの在り方を述べたかったからです。

 このことが適切に裏付けられる実例事象を経営職の経験などの中から見つけだし、この本ではそれを一つの軸として、リーダーの在り方をなるべく簡潔に情報発信しました。

 

生きる強さ

 本日は、「礼節」と「誠実さ」との関連で人間の「生き方」について、少しふれてみます。

 ビジネス生活で「礼節」と「誠実さ」を通そうとするには、信念と覚悟が結構求められます。ビジネスで直面する問題の解決に、生き方の強さが相当必要とされるからです。付和雷同しない、意味もないのにムラを作らない。自己の考えや主義を誠実に通すため、生き方として個の強さ、自律性が必要だと考えるからです。

 アイデンティティーの概念を提唱したことで知られる、米国のE・H・エリクソンは「ライフサイクル論」の考え方の中で、人間の心理形成上、年代に応じて重要な心理的課題を整理されています。彼の主張にもみられると思いますが、米国の精神心理学上の考え方の根底には、人間を支えるのに3本の柱があるとの趣旨が、ある本に書いてありました。

 すなわち、まず個(セルフ)、自己対象です。人によって違いや程度に差があると思いますが、自律性と関係するものです。

 次に、人と物の存在する世界で、自己成就できるかに関わるものです。特定の目標を立てて、それに向かって勤勉に取り組む力です。

 更に、友達やパートナーを愛せるかに関係する友人や家族との親密性が、もう一つの柱です。

 

個の力、自律性

 この考え方に従って比較すると、3つの柱の中で日本人は欧米人と比して、個としての強さ、自律性が足りないとよく言われます。これはDNA上、ある意味で致し方ないことだと、私は思っています。

 日本人としては、上に述べた第2や第3の柱、すなわち、目標に勤勉に取り組む力や親近性などを尊重しながら、少し個としての力、自律性を強化する方が、国民性として合っているのではないかとも思っているからです。何故でしょうか。

 ヨーロッパの人々は日本人に比較して個の力が強いと、私は思っています。

 国々は平坦な地形です。それが河でつながっています。土地も、一部を除いてそんなに肥沃ではありません。ここで生きていくために、彼らはある時期まで、川を経由したり平坦な土地を渡り歩いたりして他の地域を侵略し、食物を奪い合う歴史を展開せざるを得なかった。厳しい自然環境が、生きていくための個としての力、自律性を強くせざるを得なかったのではないでしょうか。

 

個の力とのバランス

 翻って、島国の日本では、肥沃、温暖な自然環境があります。食物のために大きな争いを起こす必然性が比較的少なかった。しかも山々が多く、他の地域を侵略することが、日本の歴史の初めころには、そう簡単なことではなかったはずです。この自然風土が個人としての強さより他の柱を育んできたとも考えられます。すなわち、周囲との良い人間関係を築いて一緒に何かを成し遂げることで、結果として皆が食物にありつける。このような力を発揮するDNAが、長い歴史の中で日本民族に根付いたのではないでしょうか。

 すなわち、個の部分、自律性は比較的鍛えられていない状況です。

 このままでは「礼節」と「誠実」に生きようと思っても、限界が出てくることがあります。ヨーロッパの人々は、我々の基準からすると、「そこまでするの?!」と思うくらい、個を大切にするのが自分と比較しても良く分かります。Self(個)の部分、自律性を我々よりはるかに重視していると考えます。

 我々は、そこまでしなくともよい。周囲との関係性を維持しながら、何かの目標を成就する力とのバランスを考えつつ、更にもう少し個の力、自律性の部分を強化したらどうかというのが、私の考えです。

 

選択するテーマを成し遂げる力

 個を強化するに当たり、選択するテーマは人それぞれにより、また、その人の年代により違うのは当然です。私の周囲にもいろいろなテーマの成就に頑張っておられる方々が沢山います。社会の矛盾を問い質す、政治の基本を正す等国家的なレベルのテーマを選んでいる方、他方、個人レベルで「・・・を・・・のレベルまで上げよう」と、少しこじんまりしたテーマに取り組んでいる方々と、様々です。選ぶテーマは違っても、頑張っている方々を見ると非常に魅力的です。彼らに共通していることは「生き方の強さ」が見られるからです。

 私自身も、生きていく姿勢として二点留意しています。

「好奇心 」

 一つは、常に好奇心を持つことです。今の状態に安住せず、常に何か新しいことを吸収していこうとの姿勢を持つことにしています。

 以前からもこの姿勢はありましたが、何歳になっても新しいことに興味を抱くことが、強く生きるために重要なことだと考えています。このため世の中の情報に常に好奇心を持っています。電車の中刷り広告、若者の関心事、本屋さんで並ぶ本の傾向、路傍の草花や街並みの環境変化、自治体の植林や防災対応等すべてに興味津々です。もちろん、経営の在り方には当然興味を持ち、適切なアドバイスをしています。

「負荷 」

 第二に、自分の行為に少し負荷をかけることにしています。

 決めたテーマに毎日少しの負荷をかけることにしています。自分の殻を破って出ていく勇気を持って何かをするためです。大きく負荷をかけすぎると、私の年齢では、クリアできないので、従前より少し高めの負荷をかけて、少し無理をすることを心がけています。

 このことが、昨日より更に「強く生きる」ことにつながっているかもしれません。こうやって少し無理をすると、何か新しいアイデアが湧いてきます。

 ゴルフもしかり。もう少し上手くなるために、固くなった身体に負荷をかけ、無理して少し多く回転させる。たかがスポーツですが、下手でそのままでよいとの安住を自分自身で戒めるためです。

 晴れた日のみでなく雨の日、嵐の日もある。このために昨日より少し強く生きることを心がけています。このことが、私が一番大事にしている「礼節」と「誠実さ」を貫くために必要なことだと思うからです。

 

 

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