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人材育成 / 折々の言葉

礼節と誠実さ

Posted on 2014-08-28

 『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』(クロスメディア出版)を書き終える直前の3月に、家内と輪島へ旅行に行きました。そこで漆工芸の素晴らしさに感服。

 一つの漆椀を作るのに、24から100以上の作業工程を経て、輪島の漆工芸の品質を維持する飽くなき誠実な努力の連続。技術を伝承していくために、同じ工程を飽くことなく繰り返し取り組む職人の真摯な姿勢、礼節と誠実さに感服しました。工程で何かを省略すると、最終製品のどこかで品質にボロが出るのでしょう。このことは、他の国の製品との比較で実証済みであるとの説明も受けました。

 最近、ビジネスマンの礼節や作法に興味をもっています。この視点から世の中のいろいろな事象を見ることが多いです。この視点から見ていくほうが、意外に事の本質に近づけるように思うからです。

 一例です。小保方晴子氏および彼女をサポートする方々が発見したとされるSTAP細胞の存在の真偽などを巡って、理化学研究所と小保方氏の間のやり取りに、現象的に礼節の欠如が表れています。

 理研の調査報告での最終発表をテレビで拝見する限り、自社の社員に対する礼節をわきまえた対応とはおよそ程遠い印象を受けました。小保方氏は、私の理解では、この調査報告の発表の時点で理研の社員です。契約の条件などは知る由もありませんが、研究所のトップも含めた理事側の対応が、誤解を恐れず言わせていただくと、そのインタビューが何となく犯罪者を扱うように聞こえたのは、私だけでしょうか。経営層が社員に対する礼節と誠実さの無さを露呈している印象を受けました。

 片や、小保方氏のインタビューも一部拝見しましたが、その発言に研究者としての誠実さが見られなく映るのが残念です。 自分のやったこと、他の人の援助を仰ぎながらやったことの記録を残すのは、ビジネスマンとしては常識です。

 ましてや、研究者が研究のプロセスを記録に残すのは、事実を訴求して証明するのに不可欠な道具のはず。これを研究ノートと名づけるとすると、その記入記載と保管などは、誠実な研究者ならイロハの部分ではないかと思います。STAP細胞が本当に存在するのであれば、特許申請などの事情があったとしても、可能な限り礼節を持って誠実に説明責任を果たすことが研究者として当然の責任だと思うのに、このことに疑問を抱かせるのは残念です。ビジネスマンがこれに類することをすれば、ビジネスマンの信用という一番大切なものを失うことになるからです。

 礼節の視点から見ると、双方とも本質的な部分で何かおかしいと感じたのは、私だけでしょうか。

 

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