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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

革新する

Posted on 2014-10-02

 どの会社でも、トップが革新を唱えています。当然のことです。それ無くしてはその会社の存続が危うくなることもあるからです。ところが現実には、トップの言葉と裏腹に、そもそも革新が生まれる社内環境が整備されていないことが多いのです。これでは、トップの言葉が空を切る空しい状態になってしまいます。

 そうならないためには何に留意すべきか、という視点から、本日は革新についてふれてみます。

 私の経営体験から言えば、これに不可欠な要素は、

 

1.まず専門性です

 今や、各分野が細分化されすぎるほど細分化が進んできました。細分化されたそれぞれの分野での専門性がますます要求されています。

 従って、全くの素人が模倣品は別として革新的なことを突然打ち出すのは、万が一のレベルだと思います。それほどゼロからの革新は確率が低いことが多いからです。時に専門分野以外で突拍子もない革新的なことをする人がいますが、やはり、一つや二つの専門分野を持ち、それを生かして何か新しいことを思いつくのが一般的です。ある分野を徹底的に究明していくと、他の分野でもノウハウの活かし方のヒントが掴めるようです。

 

2.その上で、クリエイティブな思考を発揮させることです

 革新にはクリエイティブな思考が不可欠です。この思考を発揮させるには、何といっても本人のモチベーションが重要です。実は、これが革新のための原動力だと言っても過言ではありません。外部的なモチベーションも重要ですが、その人の内部から湧きあがるモチベーションが、革新的な行為には一番効きます。しかも、経営サイドからの努力次第で、これを高められることが多いのです。

 余裕と言うか遊び、情熱、目的意識など、経営サイドがコントロール可能なこともありますが、クリエイティビティーとの関連では何と言っても経営上の遊びがポイントです。社員が自由に考え、やりたいことをやれる環境、すなわち、経営上の遊びの部分を経営側が如何に用意するかです。情熱や目的意識があっても、その社員が義務感から、あるいは、仕事感からやるのでなく、本人が好きなことを自由に思考し実行できる遊び的な環境があることがクリエイティブな思考発揮に望ましいのです。

 

3.トンガリ社員を大事にする

 イノベーションを起こす人の特徴は、彼らが常に好奇心旺盛であることです。何かに興味を覚えると、我を忘れて没頭するような資質の持ち主で、私の言葉で言えば、周囲の人と比較して、何かが「トンガッている」人です。

 このようなタイプの人には周囲から誤解を受けやすい人が多いのですが、組織として革新の糸口を開く資質を持った人が多いと思います。物事を違う角度から観察でき、新しい切り口を発見できる人が多いのです。その人を誤解して組織から除外しようとすることで彼の好奇心を萎縮させるのでなく、温かく見守り好奇心を維持させて彼に次の挑戦の機会を与えることです。

 

4.関連付けの動きをサポートする

 「トンガリ」人間が多数いたとしても、専門家がそれぞれ細分化され分離した状態では、新機軸を見出すのが難しくなっています。そこで、彼らを統合し、集団で「トンガリ」思考をサポートすることが必要です。関連付けをして考え、コラボレーションするのです。それぞれの専門家がお互いの専門分野を公開しながら、協力・サポートできる状態にすると、新しいことを見つけることにつながります。いろいろなものを関連付けて皆で全く新しいことを見つけることが出来るのです。

 このためには、関連付けのコーディネートが出来る統合的思考をもった優秀な社員が必要となります。専門家のトンガリ部分を削がないで、且つ、専門家同士がけんかせず、集団で新しいことに挑める手綱さばきが上手い人です。「自分の会社にはそんな人はいない」と言いながらも、社内をよく捜せば、このような素質を持った人が数人は必ず見つかります。その人に権限と責任を持たせプロジェクトを任せることです。

 

5.企業風土です

 制度があり、柔軟な思考の持ち主がいるとしても、その社員が何かにチャレンジでき、失敗してもまたトライできる風土、周囲もそれを暖かく見守れる企業風土が不可欠です。革新的なことに挑めば失敗はつきものです。それが一度の評価で封じ込められることなく、周囲の目も気にならない、企業全体がそのような人を応援する気風があると、社員も心置きなくチャレンジし、自分の会社に貢献しようとする意欲が湧きます。

 以上、ご参考になりましたでしょうか?

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