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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第231回 経営判断時の留意

Posted on 2016-12-22

 私も経営判断に迷うことが多くありました。重い経営責任を負っているから当然のことですが、特に、大きな事案だと、トップの判断における悩みは尋常ではありません。

 そのような判断時、どうしたらよいのでしようか。

 このビジネスコラムの第216回、「不合理な判断のクセ」でも書きましたが、今回は経営判断に焦点を当ててみます。

 経営の判断では、次のポイントに留意したものです。

 

評価軸のぶれ

 何かの経営選択をする時のために、経営者は常に自分の評価軸を持っておくべきです。

 大きな経営判断の時に、この評価軸が支えになります。それに照らして判断すればよいのですが、普通の人はどうしても、その都度発生する事象に対して、個人的な思い入れに影響され、評価軸が無意識にブレ易いことを意識してください。

 勿論、時の経過で評価軸自体を見つめなおすことも必要です。会社の規模の拡大、業態の変貌などに伴い、軸の構成要素を一部変えなければならないこともあります。このことを前提としても、判断軸をブラさないためには、多少抽象的でも良いので、判断の軸を公言・表明しておくのが一番よいです。

 本日出版予定の『勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方』にも書きましたが、経営者として誰でも認める評価軸は、「経営哲学」や「経営理念」になるはずです。

 

「競合相手ならどうする?」、「尊敬するx氏ならどう判断する?」の視点を常に持つ

 どうして経営判断が独りよがりになります。一定のマーケットシェアを握れる自信を持った場合など特に、施策に傲慢さも出て、自己本位な発想と判断が頭をもたげてきます。

 そこで、一息入れることです。「もし自分が競合会社の経営者だったら、どうでる?」という視点を判断の中に入れることです。競合会社に成りすました第三者から客観的なアドバイスをもらうのも手です。

 自分が師と仰ぐ人をイメージして、「x氏ならこの場合どう判断するのだろうか?」、「何故、そう判断するのだろうか?」と一息入れて自分の判断を客観視するのも手です。私も大きな判断の時には、これを習慣づけてずいぶん助かりました。いずれにしろ、自分の傲慢さを少しでも客観視する視点を持ちたいです。

 

「ためにした情報」を排除する

 新聞、テレビ、人の意見など、全てその情報の中に、それぞれの立場がもたらすバイアスがあることを念頭に入れなければなりません。「ためにする」情報が氾濫しています。

 情報の震源地を見極めること、その情報が何故その時に発信されたのかなど、情報をできるだけ客観的見るクセをつけることです。情報の信ぴょう性に疑念を抱く、できれば情報の震源地や原本に行き着いて判断をするクセを持つと、情報のバイアスを取り除くことにつながります。

 

私的感情を制御する

 友人や知人と一緒に会社を興した経営者に多くみられる現象です。判断をする際に、そのような友人や知人への思いから私的感情が合理的な判断の邪魔をしやすい。これが度を越すと、結局、会社の経営を誤った方向に導くことにもなりかねません。友人との絆が良い方向に展開すれば結構な判断になるのですが、そうならないこともありうることを認識すべきです。

 もっと広い視点で本当に適正な判断かをチェックしてもらうため、第三者の意見を取り入れる余地を残すのも手です。

 

「思い込み」を戒める

 どの経営者も自分で考えた施策や選択には自信があります。まだ自分の考えが、他の人の考えより優れていると思いたいのです。

 しかし、それは「思い込み」に過ぎないことを忘れてはなりません。自分の発想自体に、何かの「ゆがみ」があることに気づかない場合があるのです。

 大きな戦略判断では、「思い込み」からでる経営判断の「ゆがみ」が、会社の成長スピードを落とすことにもなりかねません。

 

本質が影響されることを認識

 判断する場合、選択肢の中から綺麗にまとめられたもの、きらびやかなプレゼンテーションに、事の本質を奪われてしまうことに留意すべきです。

 私は経営をしていた時、これに気を付けていました。プレゼンテーションが実にうまい。図式やチャートをちりばめて資料がきれいに仕立てあがっている。しかし、良く読み吟味すると本質を外している。それを多数決で選択させると、どうしてもそれに票が多くなる傾向がある。

 この「型」を見破り、本質に行き着く努力を重ねて経営判断の良いクセをつけるとプロの経営に近づけます。

 

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