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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第238回 社員に成長を感じさせるための上司の留意点(2)

Posted on 2017-02-16

2月2日に投稿した、第236回の続きです。

 

上司の留意点は?

b) 失敗を是正できる仕事場環境をつくり、部下をインスパイアする

 特に挑戦的な仕事であればあるほど、その結果に100%の自信はない。しかし、皆やりたくてうずうずしている。このような社員は多いです。それを実現させる仕事場の環境の大切さが分かる上司に、皆憧れています。

・仮説に基づき、トライ・アンド・エラーの試行錯誤を許すこと

 「仮設をたて、その結論に基づき、なるべく早く修正し再実行の機会を与える」ことは、彼らの成長に大変重要なことです。時間が収益を生むので、リーダーがすぐにトライ・アンド・エラーの機会を与える環境を作れるか否かがポイントです。

 変化のスピードが猛烈に早い時代には、出した結果をできる限りスピードをもって実行に移し、それを検証できる環境が不可欠です。もちろん、人事施策等、後戻りできないことはしっかり考えた上での走り出しが必要ですが、大半の施策は、行動、検証分析のプロセスによってより良いものに修正可能です。スピードが無い限り、競合に先を越され負けるリスクもある。

 同様に、関連する業務を担当する社員にとっても、出来たら自分も仮説の検証の現場に立ち会いたい。必要な修正を加えて再実行を試み、より良いものに仕立て上げるのに協力したい。このことが実現できる職場環境を与えることが、社員の成長と会社自体のスピード感のある変革につながるのです。リーダーとして忘れやすい部分です。

 

・夢や目標を自分の言葉で語り、部下の行動に火をつけること

 リーダーたる人は、部下の心に火をつけ(inspire)なければなりません。火のつけ方にはいろいろある。

 社員は皆、秘めたる夢をもって現場の仕事に参画しているが、挑戦的な仕事にはリスクが付きまとうので、相当のガイドを必要とします。この役目が上司の登場する場面です。挑戦的な仕事に向き合う彼らをガイドして、彼らの心に火を点ける上司に恵まれるか否か、その時、自分の成長度合いを実感していきます。

 どういうタイミングで彼らの心に火を点けるか。日常の観察や彼らとの対話で、火のつけ方とタイミングを準備するしか方法はありません。ここの社員との日常的な対話が如何に重要かを思い知らされます。

 更に、部下の仕事に一定の成果が出たときには、何らかの誉め言葉やそれを実証する上司としてのタイムリーな行動がポイントです。上司のその誉め言葉や行動に、部下は自分の成長を支えてくれる百万の味方を得たと自信を持つ。更に彼の心に火が点き、成長を加速することにつながります。

 

c) チームの力で応援し、オープンなコミュニケーション環境をつくる

・チームの連携を図ること

 どんなに優れた能力を持った人でも、チームとしての結束の支えがなければ、仕事の広がりを通じて自分の成長に結びつかない。このことを、皆体験で知っています。

 単独で、知恵を仕事に展開できるのは限られた業種では効果的です。しかし、ほとんどの仕事では、チームワークこそが個別の知恵を活かす上で効いてきます。仕事がバトンの伝達・連携で成立しているものが多いとすれば、個別の部品の優秀性のみならず、部品全体の優秀性とそれらのしっかりした繋ぎが、良い製品開発にとって不可欠であることと同様に、いろいろな人の知恵の集合、協力・連携があって初めて大きな成果がでるのです。

 この意味で、チームワークの動きにリーダーたるもの常に気を配らなければなりません。マネジメントのイロハです。しかも、このことは言葉の響きとは裏腹に、結構泥臭い下積みな仕事です。

 実は、ここがキーです。このような仕事は目立たない、表彰に値するようなことはめったにない。しかし、長い目で見れば、この下積みの努力こそが、そのリーダーのマネジメントの幅と深さに大きく影響します。彼の下、立派な部下が育ちます。双方ともこのことが分かるのは、その立場から10年後になるので、経験者の私としては、このことを若いリーダーに強調したい。地道な努力が、結果として、皆から「信頼」を勝ち取る立派な部下を育成したことになるからです。

 

・開かれたマネジメント環境をつくること

 社員が成長を感じてやる気を出すには、円滑なコミュニケーション環境が不可欠です。

 オープンにコミュニケーションできる「場」が組織内に欠落していることで、会社や社員が本来持っているエネルギーを失っている事実に遭遇することが沢山あります。 

 特にリーダーたる幹部社員には、「マネジメントの定石」としてオープンなコミュニケーション環境をつくる工夫を身につけることです。詳細は省きますが、これが簡単そうで、結構意識した努力を必要とします。しかし、コミュニケーションをよくしようとする本心があれば、どんなに忙しくても工夫次第で可能です。社員の成長を助ける企業風土づくりにつなげることもできます。

 

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