園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

折々の言葉

営業センスとは

Posted on 2015-03-05

 最近、ある会社の社長と、新規事業の立ち上げの件で話し合う機会がありました。その中で営業を如何に活発にするかについて議論する場面がありましたので、その時のことを思い起こして、本日は営業マンの営業センスについてふれます。

 

1.商品へのほれ込み

 営業マンを増員して新規商品の営業を更に活発にしたいという考えには大賛成です。ただし、条件あり。自社の商品に本当にほれ込んでいる営業マンを追加アサインすることが決め手だと、私はアドバイスしました。そのことが営業のスキル以前に重要なポイントだと考えているからです。

 新しい商品である以上、いろいろ不完全なところがあります。このような状況下では、営業マンがその商品にほれ込んでいるといないとによって、事業の展開に大きな違いが出ます。「これは売れないなー」と思っている営業マンでは、その商品が売れないのが当然だからです。営業には「この商品が好きなんだ」という熱い思いが不可欠です。

 お客様へのプレゼンテーションの場面でも、営業マンの迫力が違います。お客様からは、その営業マンの本気度などすぐ見抜かれます。営業マンの思いが相手に敏感に伝わるので、「私が好きなこの商品をお薦めに参りました。」という姿勢が自然にでることが必要なのです。

 

2.プレゼンテーションの手順

 さらに、新規の商品である以上、お客様には、その商品の良さについての情報が不足している場合が多いです。従って、お客様には周辺の情報が必要です。その場合、相手の立場を考えて、相手側が欲しいと思う情報を真っ先に出すプレゼンテーション資料にすべきとアドバイスしました。

 一般的なプレゼンテーションでは、自社の紹介から始まって、マーケット状況の説明があり、その顧客の課題の解決にその商品がいかに役立つかを最後の方で触れることが多いです。私は、ずばり相手の課題の解決にその商品がどうメリットがあるかに触れる方が良いとアドバイスしました。特に、対象となる中・小の企業の経営者に対しては、プレゼンテーションの順序をこのように変えた方が良いと考えます。

 お客様は自分の商売をずっとやっているプロですので、自らの課題は分かっています。貴重な時間の中で、その課題を解決してくれそうな提案や商品か否かをまず知りたいのです。そのような提案や商品には興味を抱き、彼の心の中での抵抗感をまず払しょく、若しくは、下げるように、プレゼンテーションのイントロの部分が大事なことを強調したいものです。ここが営業マンの勘所です。

 

3.良い体験をしてもらう

 これに成功したら、他の顧客での事例を基にして、まずはその新しい商品を体験していただくことです。顧客は頭の中では分かっていても、疑いたくなるものです。体験するとしないとでは、安心感が全く違います。新しい商品は、一般的に入り口のバーが非常に高いので、このバーを下げてもらうために、まずトライアルの体験してもらうことが一番です。しかも、良い体験をしてもらうために、周到な準備をしてから「お試し期間」として体験してもらうことをお薦めします。

 

4.顧客の意思で選択

 ここまでくれば、しめたものです。後は、クロージングです。良い体験をしたらすぐ次のステップ、すなわち、契約に持ち込むことです。ただし、ここで自分の論理だけで突き進むような無理をしないことです。顧客は体験を通して商品の良さを分かっていますから、プッシュの方法に最大限の留意が必要です。

 逆に経営者として選択する立場でもあった私の経験からすると、選択する側は、自らが合理的、且つ、主体的に意思決定したのだと、常に思いたいものです。従って、顧客自身が意思決定を合理的にしたのだと思える方法にすべきです。その意味で、せかすのは禁物です。

 同業者の契約状況などの情報をそれとなく出して、他の人の判断に顧客が感化されるように仕向けるのも一つの方法です。何故なら、経営者は、他の人、特に、同業者の行動に同調しやすい性格を持っているからです。

 

 

経営上、私が大事にしたいこと

Posted on 2015-02-26

 以下に述べる企業風土・企業文化を持ち続ける企業が成長をし続けていることを、私は経営を通じて学びました。こういう企業風土を造る会社は成長し続けています。

 

1.その時に顧客が求める価値の提供

 顧客に対して、その時に求めている価値を提供し続けることです。

 顧客は時代により変わります。同じ顧客でも時の経過によって要望が変わってくるものです。どの会社も特徴と言いますか、格好良く言えば、コアビジネスを持っています。これを時代の要請に応じて自ら変質させることが肝要です。

 例えば、私が関係していたテレマーケティングの事業では、最初は電話という道具を利用していました。その後、インターネット環境の発展により電話に加えてPC端末での応対が加わりました。更に今は、この分野の技術進歩と顧客の要望の変質に対応してチャット機能での応対に変容、若しくは、今後これが加わってくるのではないでしょうか。

 その時々に顧客が求めている価値の提供をするため自社のコアの能力を再構築して、基本となる顧客対応の能力に徹底して磨きをかけることです。

 

2.身の丈を認識

 身の丈経営に徹することです。

 私は経営に携わっていた当時、テレマーケティング関連事業の分野において、サービスでなら自社も勝負をできるが、物的製品や私が不案内な商品での勝負をするのは身の丈に合わないと認識をしていました。

 そのため、当時多くの経営者が投資に走った不動産や金融の分野には一切手を出しませんでした。その結果会社の経営は、1990年代にバブルと言われた現象の影響とは無関係でした。戦略自体は大胆な展開絵図を描きましたが、経営実践上は身の丈を知って、余剰資金があっても慎重、且つ、質素にふるまっていました。お蔭で、企業経営のリスクを最小限にし、しかも、会社の成長のスピードを上げることが出来たのです。

 

3.価値観を繋ぐ行為

 価値観を共有し、その価値を社員の行動で将来に向けて繋いでいくことです。

 価値観を繋ぐ主役は、私の分身たる幹部社員でした。新・旧入り混じった幹部社員の軍団でした。水は上から下へ流れるとの例えの通り、主として幹部社員を徹底教育し、彼らを通じて価値観を繋いでいったのです。

 どこの会社でも社是、経営理念などがあり、応接室などに掲げてあります。しかし、それだけでは何のためにもなりません。行動にも価値観が表現されねばならないのです。社員の日常の行動に価値観が徹底して表現されていなければ、会社は思った方向に動かないからです。

 このため私は、特に社員の教育を大事にしていました。また、賑わうイベントや神事なども大事にしていました。教育や賑わうイベントは、共有すべき価値を公開し、社員が自らの体験を通じてそれを共感することに役立つからです。

 教育やイベントは、社員が組織の中で学習、体験するためには不可欠なプロセスでした。なにも特異なことをやるのでなく、会社が目指すこと、それをどう達成するか、何故社員の協力が必要か等を徹底して議論する場と頻度を沢山設けたのです。目標を達成したら、それを皆で祝う場を設けました。そこに出席して、皆が醸し出す雰囲気と臨場感を体験させるためです。

 神事は、もともと私が出雲の出身でありましたので、これを大事にしました。センターの開設などには、どんなに小さくてもそこに神主を招いてお祓いお浄めの儀式を怠りませんでした。この一見理論的には理解しがたいことについても、皆が価値観を共有してくれました。

 

4.自由度と裁量範囲

 自由度と裁量度を高めることです。

組織としての限界はありますが、個々の社員が希望することをなるべくやらせることにしていました。その環境を与え、その中で彼らが自律的に考え、自己の裁量で判断、行動を起こせる環境を作ることです。

 身を縛られ自由が無い環境では、生産性、特に中・長期的な生産性が高まらないからです。また、自由な環境から創造性が生まれやすいからです。

 

 以上、主要な点のみを上げましたが、このような企業風土・企業文化を造り上げる過程こそが会社の成長と発展につながると考えています。

 

理と情

Posted on 2015-02-19

 私は欧米人と日本人の思考パターンには、根本的な違いがあると今でも考えています。

 最近はグローバルな付き合いが必要になるので、日本人でも一見欧米人的な行動を起こす人がいますが、その人の心の底に流れている本心は違うのではないかと考えます。一般的に日本人は、考え方や行動の根底に、理より情が優先的に流れているように思います。

 アメリカでのある会議での体験を、私は今でも忘れません。理と情の違いが決定的に出ていると感じた体験です。

 顧客との大きなトラブルが発生し、会社に少なからぬ損害を及ぼしかねない事態が発生しました。この原因を作ったと思われる本人が必死でトラブルの修復活動を行っている矢先に、各国から6~7名集まった幹部の会議での議論が私の体験です。

 

原因究明優先か?

 トラブルの原因について、アメリカ人とイギリスやオランダからの代表の意見が違い、激烈な議論が延々と戦わされていました。その最中の私の発言です。

 私は、「そんな議論をしても、いまさら仕方ないことでしょう。その原因がどのこうのと言うより、改善に一生懸命やっているその人の頑張りをサポートする方法を今考え、彼の修復活動の部分を褒めて応援してやらねば、結局顧客を失い会社が大変なことになりますよ。」と、仮にその人が原因を作った主人公だとしても、彼がその改善に全力を尽くして努力しているとしたら、トラブルの早期収斂に重きを置き、彼をサポートすべきと主張しました。

 勿論、原因究明こそ大事なことは分かっていますが、頭を下げてクライアントに謝り改善に努力している姿勢の方を優先した発言です。平均的な日本人には、私のような行動パターンを取る人が多いのではないでしょうか。

 加えて、議論の中で感じたのは、彼らがトラブル修復に関するその会議体での決定が、彼ら自身にどんな影響をもたらすかに非常に神経質なことでした。組織としてクライアントの離脱を防止しなければならないのに、組織よりも自分のメリットを優先しているのではないかと感じる発言も多数あったことです。

 

理か情か?

 この議論から特徴的に感じたことは、第一に、彼らは、理(ロジック)にかなっていないことには賛成しないことです。勿論、情の部分について彼らも分かってはいますが、原因を延々と議論しなければ納得しないほど、欧米人にとっては、理が情に勝るのではないかと思いました。

 

個人の利益優先?

 第二に、常に自分自身のことを考えていることです。彼らも当然組織に属しています。しかし、優先するのは個人の利益(ベネフィット)です。会議体での決定が、自分自身にとってどんな利益、ベネフィットをもたらしてくれるか、不利益をもたらさないかをまず発想する思考経路を、欧米人は本質的に持っていることです。

 このように、我々と、少なくとも私と発想の根底に流れるものに決定的違いが見受けられます。

 

日本人の精神性

 極論すると、ダメもとで相手を刺激して、結果として自分に有利な落とし方を狙う発想につながります。

 このやり方は、現在進捗しているTPP交渉でのアメリカ側のやり方に象徴的に出ていると思います。選挙民の票を意識し、ロビイストのプレシャーもあるとは思いますが、少しは相手のことを慮る我々日本人の発言や行動とは、明らかに異なります。我々は決定的なケンカを避けて和を重んじます。

 また我々は、このような場ではまかり間違っても自分個人の利益をベースとした発想は一般的にはしません。その決定で、自分自身より自分の属する組織や集団が変な影響を受けないかの思考回路が優先的に働くようです。

 これを日本的だと批判されるかもしれませんが、そもそも日本では、どんな機能図や組織表を作っても、それはそれとしてそれよりも人間関係を重視した行動を見ることになり、しかも、組織を超えた助け合いが発生します。上司が命令するまでもなく、人間関係が良好な場合、困った部門に対して組織の枠組みを超えたサポートをします。

 権限が曖昧だからと、これを一部の人は批判しますが、私は、日本人の本質的なことだと思います。権限などの人工的な枠組みを超えた日本人の精神性の一つだと思っています。

 勿論日本人も、理を追い求めることをやろうとすればできます。しかし、その先に何があるのかが、潜在的に日本人は分かっているからこのような発想をするのではないでしょうか。

 

 

豊富にアイデアを生むためには

Posted on 2015-02-12

 「アイデアがなかなか出てこない!!」と、悩む人がいるかと思えば、湧き出すほどのアイデア出しに恵まれている人も見かけます。私の近くの経営者の仲間にも、本人のアイデアが豊富過ぎて、社員が追い付けないほどの人もいます。

 勿論、アイデアが豊富なことと経営が上手いこととは直結しません。アイデアを活かす方法が下手な場合もあるかもしれません。このように活かし方が問題になるとしても、アイデアが豊富な人の方がビジネス上良い機会に恵まれる確率が高いと言っても間違いではないと思います。

 

「場」

 では、どうやったらアイデアが豊富に生まれるのでしょうか?

 私の経営体験から言えば、アイデアは突発的に出てくるものです。例えば、電車の中、お風呂の中などでアイデアが浮かぶことがよくあります。

 確かにこのように突発的に出てくることが多いとしても、その前段階でアイデア浮上のトリガーとなるある種の環境が必要ではないかと思っています。

 

環境

 その環境とは、異なる考え方を持った異分野の人々が参集して会話ができる「場」です。

 このような「場」で、何かが一定期間頭の中で醸成され、ある種のトリガーがきっかけとなり、現象として電車の中やお風呂の中で、突然アイデアとして出てくるのではないかと思います。無から何かは生じないからです。

 

フィレンツェの例

 昔、視察団の一員としてイタリアのフィレンツェの街を訪問したことがあります。15世紀のルネッサンスを起こした場所です。ここに金融業で財を成したメディチ家の関連の有名な美術館がありますが、周辺にも沢山の建築物や彫刻があります。街中の教会には著名な絵を観ることができ、時間を忘れるほどです。更に、ここから哲学や科学の新しい流れも生まれています。この土地で、よくぞこれほど沢山のアイデアが生まれたものだと感激しました。

 多種多様な人々が当時フィレンツェに集まる誘因があったのでしょう。すなわち、新しい知識や技法などを議論しながら学べる魅力的な「場」が、ヨーロッパ各地からの人々の交流の交差点として機能していたとしか言いようがありません。この「場」をつくったメディチ家の貢献が大きかったことになります。

 

現代の日本

 翻って、現在の日本を見ると、人々が新しいアイデアを生み出す誘因となる交差点に遭遇しにくい状況にあるのではないでしょうか。違うことを尊重し、そのもとで交流し議論できる「場」を作れるリーダーが少ないのかもしれません。あるいは、一般的に今の日本人自身が過去の成功に安住して、そのような新しい体験を欲しないからかもしれません。過去のパターンを踏襲して生きる方が楽です。

 何かを考える時、人は過去の出来事を想起します。人間の頭の中で反射的に作動するこの回路が、頭の中で動いているのです。ます。そうなると、体験や交流の少なさからくる新しい刺激の減少と相まって、想起するアイデアが益々貧困になり、これではアイデアの新規性は生まれなくなる悪循環に陥ります。

 

アイデア出しの豊富な人の共通点

 「場」の環境を考えてみると、アイデア出しの豊富な人には彼らが体験した環境に共通点がありそうです。

・まず彼らには世界中の異分野の文化に触れた経験があることが多いです。

 海外留学、遊学、海外で就業、海外旅行等なんでも結構ですが、数年損したつもりで、できれば若いうちに、このような体験を増やせる社会環境や教育制度を充実したいものです。

・第二に、既成の教育には無い学び方を経験している人です。

 普通の教育ルートに乗らず、これをはみ出して違う学びのルートを歩んだ人の発想に感服したことがあります。違う交流の場を体験した人の発想です。これも教育制度と関係しますが、一本道でなく複数の道も許容できる制度を主流として多様な価値観を持った人々の集団としたいものです。

・第三に、違う視点に立って物事を見る人です。

 道理にかなって物事が動いていたとしても、「何故?」と立ち止まる余裕のある人です。このような人は、違う角度から物事を見る努力をしています。ただし、意識してやらないと、先ほどの過去のパターンの踏襲の罠にはまりやすいので意識的な努力が必要です。

・第四に、自らの行動パターンを時々変化させている人です。

 行動が思考に少なからず影響を及ぼすのではないでしょうか。新しいアイデアが浮かぶ違う舞台で踊ってみることです。

 以上の通り、異分野間、異文化間の交差点こそアイデアの宝庫と見ます。この環境でこそ異なる概念や発想に出会い、卓越したアイデアが生まれる機会が多く自らのビジネスマン人生が更に豊かになるのではないでしょうか。

 

海外でのビジネスこそストレスに強い人材を(2)

Posted on 2015-02-05

前回の続きです。

ビジネスチャンスを活かすには

 では、その地域で各会社やビジネスマンがチャンスをどう活かしていくかです。

・他の項でも書きましたが、前提として、会社として俊敏な動きが出来なければなりません。いざという時にすぐ行動に移せるように、マイナス資産などは早期に切り捨てて自社の資産内容を身軽にしておくことです。海外で展開するからこのことが肝心だというわけではありませんが、特に、海外でのビジネスには動きを制約する要因を少なくすべきです。私の友人などの会社では、不良資産を整理して資産を優良な流動資産に集中させ、海外での投資活動をする体制を整えているほどです。良い案件があれば俊敏に動くためです。

・経営者の思考も、自分の任期中の業績のことのみを考慮した短絡的なパターンを海外展開に持ち込まないことです。短期的な利益を上げるために人員削減で乗り切っている経営手法は、まさに短絡的施策の代表です。むしろ南の地域のマーケットでは、人員を上手く活用して現地にマッチした新しいことを創造しようとする積極的なマインドが望まれます。

・勿論、新しいことをするにはリスクがつきものです。特に、このような南の新興の国では、日本でのビジネス・リスクの想定を超えるリスクも多くあります。このことを前提にビジネス選択、パートナー選択などを適正に終えたら、次は、小さく着手して試行錯誤し、状況を読みながら次へ果敢に進むことをお薦めします。ビジネス企画の試行錯誤を繰り返し、企画を実践に移したらPDCAサイクルを早く回して取捨選択のレベルを上げ、新しいビジネス機会を逸しないことが、このような地域でのビジネスの成功の秘訣だと思うからです。

 

ストレスに強い人材

・上記のような点を踏まえながら、まず人材の準備、生産のための原料の調達、販路の開拓などいろいろな準備をしなければなりませんが、ポイントは人材だと考えます。このため、リーダーとなる人材を送り出す企業側で、普段から内部人的資源の強化に努めておかなければなりません。

 ストレスにも強い自律型の人材が必要となりますので、普段の仕事場でこのような人材が育つ環境を整えておく必要があります。現地ではストレスが確実に大きくなるからです。困難な状況への適応力、それに伴うストレスからの回復力、災害時の復元力、これらが強くなければ現地での競争に勝てません。

 例えば、統制でなく仕事の魅力をつくり、自由に仕事をさせ創造マインドを持たせる。社外との垣根を取り外、しノウハウの交流を通じて視野を広くさせる。プロジェクトを本当に任せ、結果に責任を持たる。国際的な非営利団体への貢献のための参画など本来の業務とは別のことにも取り組ませ、幅広い経験をつませるなど、多少のストレスがあってもこれを自らの知恵と判断で克服でき、自分で考え自分で課題を解決できる幅広い識見を持った人材が育つ環境が必要です。このような環境でこそ、自律的なリーダーとしての心構えと行動力が備わってきます。当然、彼の仕事への対応のし方も変わってくるはずです。

 

現地の慣習に溶け込む

・現地に派遣されたそのリーダーは、異なる環境や文化に遭遇することで価値観の多様性に気づきこれを高められるメリット、更に、違う考え方の組み合わせで新しいアイデアをものにできるメリットを享受できるかもしれません。

 しかし、同時に彼が留意すべきことも沢山あります。

 商売のやり方、慣習も違います。日本では当たり前と思うことが、当たり前ではないことに遭遇します。イベントなども日本でのやり方をそのまま持ち込むのは危険です。現地向けにカスタマイズしなければなりません。日頃から現地の社員と緊密な関係を持ち、商売のやり方、イベントの方法なども現地に合わせたやり方に修正する知恵を備えなければなりません。

 ストレスが溜まると、「どうせ分かってくれない」とすねて、自己嫌悪に陥りやすい傾向がでます。これが自らと現地の人との壁を作ってしまいます。そのようなことを回避すべく現地に溶け込むことが先決です。一般的に、日本人はあまりプライベートなことを話したがらない傾向がありますが、溶け込む工夫のために、現地の社員に自分や家族のことをオープンに話し、現地の人の習慣に入り込んで壁を失くすなど、小さいことでも結構ですので、自分のありのままの姿を分かってもらう努力をすべきです。

 

いざという時の準備

 日本の優秀なビジネスマンが地球の南側に機会を求めていくのは、制度や労働人口などのデータ上、自然の成り行きです。この地域で思い切りぞんぶんに仕事をして成功していただきたい。そのため、ビジネスマン諸氏、今の内からストレス耐性を強くして、いざという時の準備をしていただきたいと考えます。