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折々の言葉 / 本物の戦略

戦略策定時の落とし穴(1)

Posted on 2014-03-06

 皆様も、企画部門に配属されて戦略の策定に関係することがあると思います。その時に是非、配慮しておいていただきたいことがあります。この落とし穴にはまらないことです。

 

基本構造が脆弱なこと

これは決定的に大きな落とし穴です。戦略が十分な根拠に立脚した基本構造(核)をもっていない場合です。

 私の経験でも、この落とし穴に気づくことの重要性を、自分自身が樹てた戦略群を、今になって比較してみると、明確に認識できます。姿や形は少し幼稚でも、最初に立案した戦略において、基本構造が一番明確でした。会社が実質倒産の憂き目に瀕していたので、どう生き延びようかと必死で現状を分析して違いのある方向性を示し、実践しようと考えた時です。社員の生活も含めて安心させるための将来像を、本気で立案した時でした。

 その後数回、中期の戦略を立案しました。これらが会社の成長・発展に貢献する道標になったことは間違いない事実です。しかし、後の物は「何となく、恰好をつけている」部分が多くなってきたのを、今振り返ると感じます。外部の目などいろいろなことを気にしだしたことが一因かもしれません。

 私の戦略構成では、基本構造(核)は現状の分析、基本方針と行動の3つから成り立っています。まず、現状を分析して課題を特定することから始めます。私の場合は、現状を分析した結果、顧客のためにサービスの質を高めることこそ、最大の課題として明確にしました。

 次に、その課題をどういう方針でアプローチするかを吟味します。いろいろな未来を洞察し、自社のシナリオを複数描き、勝負する場所を合理的に選択、現時点で使える戦術をリストアップして、アプローチ方針を検討していくものです。P.ドラッカーは、「未来は知りえない。未来は、現在存在するものとも、我々が予想するものとも異なる」と、述べている通り、予測でなく仮説を立てて、アプローチを選択することとなります。

 更に、行動の一貫性が必要です。行動こそポイントで、上手くいかない場合、修正の起点となるものです。

 

自社の業界内に拘ること

 ほとんどの戦略が、外で起きていることの自社内への影響を考えてはいますが、意外に、この部分に重点が置かれていない。対岸の火事として安易に考えている場合が多いのですが、逆に、トレンドと最新動向を見据えて、ここに重点を置く戦略こそ、中期的に自社を救うものになります。業界の外で、すでに起きていることが自社に起きないかを自問自答することになります。「もしそれが起きたらどう対応する」と、企画担当が未来予想ゲームをすることになります。

 

専門用語を多用すること

 まず基本的なことですが、素人ほど専門用語や業界用語を多用しています。内実を伴わないものが多いことを立派に装う目的で、普通の社員が普段触れることが少ない用語で「煙に巻く」ものです。

 私も何回もこのことを、レビューする立場で経験しました。その時点では、「なんとなく立派なことを報告する部下だな。」と思うこともあったのですが、じっくり考えてみると、あまり本質的なことを言っているわけではなく、専門用語で内容のないところをカモフラージュしているのであるのに気づきました。本人もその意味を本当に分かっているか疑問なこともありました。

 それ以後は経営者の立場で徹底して、「難しいことを丁寧な言葉でわかりやすく説明するのが、本当のプロです」と、報告者に戒めていました。子供に分かりやすく説明するには、相当内容を詳しく知っていないとできないのと、ほぼ同じことです。

 

 

 

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