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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

センターの社員をやる気にさせる(1)

Posted on 2014-10-16

 先般、ある会社のコールセンターの視察に行きました。センターの改善が主たる目的です。このセンターを改善するには、いろいろなことが必要であることが分かりました。予想通りその中で、まず現場の長の立場の人に留意してもらいたいことが鮮明に浮き彫りになりました。良く考えてみると、これらのほとんどは私が『これからの社長の仕事』の中で「農耕型企業風土造りで企業を中・長期的に発展」させるための「経営定石」に包含されていることでした。

人の上に立つ人には、共通して会得していなければならないマネジメントのイロハがあることを物語っています。

 本日は、現場の「やる気」を引き出すために、センターの長たる人がやるべきことの一部を、経営の定石との関連で述べさせていただきます。なを、定石の番号は私が本の中で付番したものです。

 

1.定石4 経営理念を明確に打ち出す

 現場の長はトップ経営者ではありません。しかし、沢山の社員の上司という立場にいます。そのセンターが何を目指しているのかを、彼の立場で現場集団に明確に示さなければなりません。

 すなわち、現場の長は目指す目標を定め、現場の社員に分かりやすい言葉で、その内容を説明開示しなければなりません。これは当たり前のことに思えますが、意外とこの最初の所が不明瞭になっていることが多いのです。特に、急成長したセンターなど、理念の整理が追いついていないところで起きやすいことです。

 目指す目標が明確に打ち出せていないと、現場の社員はそれぞれ自分が何を目指したら会社から評価されるのか、上司が自分に何を期待しているのかが分かりません。結果として、上司の指示と部下の行動に大きなズレが生じて施策が後手に回り、センターのモラール向上が期待できないことになります。

 

2.定石15 意識を変える

 長たる者は、現場に変化をもたらし、現場の社員の意識を変えることをすべきです。これはあらゆる組織に関して言えることだと考えます。現場のセンターでも、小さい規模が急激に大きくなった場合、社員や現場の責任者の意識がセンターサイズの拡大に追いついていけない現象が発生することがあります。特に、意識を変えるべき立場の長自身が変化に追いついていない場合は、事態が深刻です。詳細は省きますが、他の解決策を同時並行的に推進しないと混乱の解決に時間がかかりすぎることを付記しておきます。

 長も社員も毎日ルーチンの同じような仕事をしていると、一見みえる場合が多いのですが、実は顧客の要望は日々変わってきて、革新を求めていることに気づいていないのです。そのことに気づくのが遅れて、センター全体がマンネリ状態で走っていることによく出くわします。このようなセンターでは、意識を変えるきっかけづくりより、当面の顧客の要望対応に追われて混乱をきたし、社員からいろいろな不協和音が聞こえてくる事態になります。

 上から下までの意識を変えるきっかけが必要となりますが、一番の責任は長と名のつく人にあります。上記に記載した通り明確なセンター目標の明示を前提として、成果を上げた社員を褒めて認めてあげる、部下の仕事の内容を少し変えて、本人がより上位の仕事を要請されるようになったとの意識を持たせるのも方法です。いずれにしろ、単なる言葉のみでなく具体的な業務を通じて意識改革を図らねばなりません。

 

3.定石8 対話をする

 対話をすることは相手の考え方をしっかり把握することに通じます。一人一人の部下の特徴、強みを知らない限り、更に上位の仕事を任せる具体的イメージが長たる人に湧きません。

 上手く運営されていないセンターの最大の特徴は、上司が部下のことを意外に知らないことです。風評などで知ったつもりになっていることが多いのです。これでは、それぞれの社員が本当は何を目指して仕事をしているのか分からないので、センターの舵を取るのが難しくなってきます。

 対話には時間がかかり、しかも聞くことの忍耐も必要とします。上司が部下個人の心の中にまで入り込むことは戒めなければなりませんが、まず、その人を「知ること」です。個性も違います。何を褒めたらその人の琴線に触れるかも個人によって違います。

 まず、対話を通じて「知ること」で、長たる人に、部下をどのような指導をしたら良いかのヒントが湧いてきます。

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