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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第269回 新規事業の発想で革新(2)

Posted on 2018-01-18

以下前回の続きです。

 

外部人材も含めた異能集団のプロジェクト編成

 新規軸を導入することになるので当然いろいろな部門のメンバーが参加することになりますが、外部の人材も入れた編成として、しかもその分野のプロのメンバー構成を薦めます。職位の上下はあまり関係しません。

 戦略のプロ、コンセプト固めと基本設計のプロ、サービス展開のプロなどなどです。このため私はいろいろな分野のプロを入れたプロジェクトを打ち立てることを薦めています。

 既存の社員のみでは無理な場合が多いす。皆、現場を持っている立場上、どうしても片手間的な対応をしがちで時間がかかる、コンセプトが従前のモデルに引っ張られてぶれてくる、サービス設計段階で全く新しい取り組みに苦労しすぎてしまい、そのメンバーが腰折れになってしまうリスクも多いからです。

 併せて頭の良い人間だけでは無理です。感性や感度に優れた異能人材が不可欠です。

 前段で述べたサービス設計の部分では頭の良さで解決できる部分が多いとしても、戦略やコンセプト固めの部分では、先をどう読むかの感性が非常に利いてきます。

 当然、環境の変化の読み方、自社の強み、弱み、機会や脅威の分析を基にして、これからの先を読むことになりますが、ここに洞察力が必要となります。これは、ある種の感性の部分です。同じ景色を見てもその中から見出す絵図の切り取り方が全く違う、この感性です。

 また、異業種の経験者も参加させたい。異業種を経験した彼らがデジタルの武器の組み合わせで既存業種を眺めると、既存パラダイムをひっくり返せるヒントが湧いてくるかもしれません。新しい切り口を思い起こしてくれるかもしれません。

 

実験段階での迅速なレビューサイクル

 価値を創出できるサービス設計まで落とし込み、会社としてgoのサインが出ると、ここでいろいろな判断が必要です。まず、開発体制をどうするかです。個人的には開発については、技術的に可能なら自社開発を薦めます。以後の修正展開などの際に、自社ペースを守れること、また、自社の開発過程でいろいろなノウハウが溜まるからです。

 開発ステージが終了すると、一定規模の実験に着手することになります。とりあえず新しい事業展開に必要とされる重要な要素と機能のみを織り込んだプロトタイプで実験することになりますが、そこで出てきた課題を、如何にスピードをもって評価、修正して、当初のコンセプトを実現できるサイクルに乗せるかが新機軸の商用化の評価に影響します。

 この時までの投資コストも集計しておかなければなりません。この実験で出費が予想以上にかかる大半のケースは、最初のステップ(戦略、コンセプト固め、基本デザイン、サービス設計)の詰めが甘いから発生する場合が多いです。この意味で、最初の段階で如何に経営層がしっかり厳しく案件内容を吟味するかが重要なことになります。

 

大胆な発想を基にした新規事業が難しい背景

 上記のような発想をもって新規事業へ着手することがほとんどの企業で可能なはずです。にもかかわらず、それを困難にしている背景があります。

 既存ビジネスの枠組みで考えてしまう場合、既存の事業である程度の収益をあげているので新機軸を打ち立てる議論がしにくい場合、過去の成功物語を引っ張っているボス的存在がいる場合、全て自社対応の発想で他社との協力関係を築くのが下手な場合、当面の資金の創出に窮している場合などです。

 しかしこれらはどれも、本来自社で経営コントロール可能なことばかりです。

 是非、新たな柱を作るべく、大胆な発想で新機軸を戦略的に考える努力をして下さい。

 

 

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