園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム 園山征夫のビジネスコラム

小グループ

経営者が成功するための条件

Posted on 2014-01-09

 私は、経営者の成功にはいかに良い企業風土を造るかにかかっていることを体験的に知っています。

 ここに言う良い企業風土とは、経営者のためにというより、どちらかと言えば企業集団に参加する社員のためにと考えられたものであることが適切です。

 経営者一人のエンジンで会社を動かすより、多数の社員が「燃える集団」化してそれぞれの社員が自己の裁量で判断し行動するエンジンを、どれだけ多数もっている企業風土となっているかがキーと考えます。日本の経営者の皆様、頑張ってください。

 経営者が成功するには、商製品の革新性は当然のこととして、経営者と社員との連帯感が不可欠です。

 こうなるためには、経営者が社員の共感を呼べる経営哲学、経営動機を持たなければなりません。単純に金儲けをしたい、では社員の共感は得られません。その企業が、社会のためにどんな貢献ができるかを明確、かつ具体的に社員に伝えなければなりません。このメッセージには起業の動機に社会性ありやが問われます。これは経営理念や社是等の言葉で表現されることが多いのですが、ホームページ上や額に掲げられる文言の背後に、どのような真実があるのかが不可欠となります。

 私は経営再建時に、「とにかく会社を倒産させないように」と歯を食いしばって頑張りました。その過程は別の項で述べる機会があると思いますが、社員が「燃える集団」と化していくのがわかりました。経営理念の内容と経営目標を社員と共有したことが負け犬根性の払拭につながり、あらゆる社員が営業をしていたことを思い起こします。

 社長の私は当然として、間接部門、直接部門等関係なく10円の積み上げを行うためにあらゆる発想で稼ぐ行為をしました。また、多様性、ダイバーシティーを重視し、異なる発想を奨励してイノベーションにつなげました。そのことは業界と言われる中で旧態依然たるビジネスモデルを変えることにつながっていきました。

 特に、新しいマネジメントのイノベーションを試み、成功しました。自らが知恵を絞って儲けるためにどうするのかのマネジメントを考えるために、垂直形から平面型、顧客接点多様型にマネジメントを革新したのです。当然、顧客を知ることから出発しなければなりません。本の中に出てくるマーケテイングの格好良い言葉などどうでも良い。要は、顧客が何を欲しているかを肌で感じ知恵を絞らなければなりません。

 小グループ制を採ったことで、グループの長の柔軟な発想を呼び、素早い行動が出来ました。今でこそ当然の方策ですが、小グループ制のもとで、グループの経営をそのグループの長に任せ、マネジメントの自由度を増し、彼の裁量の下に経営できる中間層を育成しました。この規模のグループだと部下の隅から隅まで面倒を見られるので、血がかよった経営につながり、「わくわく元気」な組織になります。

 

生活者の声、顧客の声を鋭敏に汲める組織や体制になっていますか?プロの働き方をしていますか?

Posted on 2012-08-02

情報共有の時代の統治方法

いろいろな情報機器という武器を使って地球上どこの地域の情報でもどんどん公開される時代になってきました。世界が確実にグローバル化に向かっています。

この様な時代には、興味がある人々が自由な発想で世界中の知恵を結集して何か新しいことにチャレンジできる環境をつくることこそ社会全体の繁栄に繋がる、との考えを私は持っています。

このような人々が個人の個別の要望・願望に合わせ自由な発想で何かを造っていくエネルギーに期待する環境をつくる施策を打ちだすことこそが社会全体にとって肝要なことだと思います。

逆に、今の政治の世界で全体を「十把一絡げ」にした方法や行政施策がはびこっているとすれば、その効果には大きな疑問を覚えます。

例えば国民全体を対象にしたマクロの産業政策や、中央官庁主導の縦割りの政策等で有効需要を喚起したりする考えは、中期的な視点に立てばまず上手く行かないのではないかと思います。

新しい情報機器や端末で沢山の個別情報を既に手に入れている生活者や顧客という需要側自体が、既存の政治統治組織や体制にパラダイムのシフトを求めているからです。このことを政治の仕事をしている人々に本気で肌で感じ、分かってもらわねばなりません。

この意味では、大阪をはじめとする地方自治体が適正な財源をもとに自分たちの好きなように行政をやらせてくれと要望するのも、個別の意図は別にして、当然の流れと見ます。

現地現場での課題解決力

私自身、政治とは別の経営の世界でこの流れに気づいていました。会社の経営で、本社より現地現場に裁量権をうんと持たせ、自由闊達に運営させる必要性をいち早く感じていたのです。

顧客が困っていることの問題を明確にし、その解決方法を提案するといういわゆるソリューション型(課題解決型)のマーケットの要請をひしひしと感じていました。

企業としてこれに応え速やかに課題を解決するためには、組織形態もピラミッド型組織からフラット型の組織に変えて、そこに権限を与える方が効果があると考え、「小グループ」の長にプレイングマネジャー的責任をもってもらうことにしました。自分でリスクを管理し、多様な人間関係を開放型に持ち、すぐ対応してもらえるプロの人材集団の育成を望んでいたからです。

そのために「小グループ」制をとり、社員のイノベーティブマインドを鼓舞して社員と会社全体の活性化は実現できました。現場個別の事情を配慮せず、強力な本社が会社全体のマクロ施策を組織の縦割的に現場に打ち出す弊害を、私は時代遅れと見ていました。

私には、本来、汗を流している現場の人々が一番マーケットの流れを知っているとの思いがあり、そのために必要な組織制度をつくり、現場のプロの人材に任せるべきであるとの考えが強かったからです。

「はやぶさ」のエンジン設計者のプロ魂こそ見本

2012年春、飛行機内でたまたま映画、「はやぶさ」を観ていたことを思い出します。

2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」が2005年夏に地球から60億キロ以上離れた小惑星「イトカワ」に到着しました。この探査機が空気の噴射でアート的に実施する姿勢制御機能を失うという事態に見舞われるのですが、宇宙開発機構(相模原センター)から1.5か月間に数万回電波を送り続けていたところ、ある技術者の設計変更のおかげで衛星が微弱電波に反応を示し、偶然、制御が可能となったのです。

設計仕様段階ではこうなっていなかったようですが、設計技術者が自己判断で工場に設計仕様を依頼していたおかげで、補助イオンエンジンとの迂回ルートを利用してエンジンを作動させることができたのです。エンジンが再起動でき7年ぶりの2010年6月にオーストラリアの砂漠に落下、カプセルを回収できました。

まさに、何かの時のリスクを想定し、その課題を解決する策を自分で打つというプレイングマネジャー的現場のプロの技術者の働き方です。