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折々の言葉 / 語り継ぐ経営

第247回 戦略の策定の大前提—環境認識(1)

Posted on 2017-07-27

環境認識とその分析の大事さ

 私は経営戦略の策定にあたり、世の中の動き、環境の変化を大変重要視しています。

 世の中の動きをどう観るか、すなわち環境認識に対する「大局観」の有無が戦略の大きさを決定づけるからです。

 このことで自社の戦略が広がりを持つことになることを知らず、すぐ自社の現状分析から始める人がいます。戦略の広がりのなさ、すなわち、環境認識の狭さが以後の成長・拡大のスピード感に大きな違いをもたらしていることを知らずに無駄に先を急ぐ経営姿勢の狭隘さを痛切に感じることが多いです。

 例えば、グローバルというよく使われる概念と自社が対象とする特定地域との関係性で自社の商売が今後不安定化しないか、違う方向へ変化していくのか、IoTなどの最新の技術革新が突然自社の従来のビジネスモデルを根本から破壊していく可能性を秘めていないか、または、その技術革新を逆手にとり自社のビジネスの今後の柱に据える戦略にならないか、自社のビジネスを取り巻く法制度の改正や規制緩和をどう捉えるか、人口構造の変化が自社のビジネスにどう作用していくのかなどなど世の中の動き、環境の変化への「読み」は、大きな戦略策定に決定的に重要な部分です。

 この環境分析は、ある意味で経営者として嫌な部分です。私自身にとっても経営者として怖い部分でした。何故なら、出来ればそのようなことは起きてほしくないことばかりだからです。

 しかし、そのような事象はどの経営者にも共通して発生することが予測されるならば、誰よりも先に、しかも誰よりも深く分析して戦略図を策定するほうが、ビジネスのゲームで勝ち続けるチャンスになることを忘れてはいけません。

 この意味で環境分析は、いろいろな変化が予測される中で、今後も自社の事業の持続性はどうやったら保たれるのかを、経営者が自分に問うことと等しいことになります。

 戦略策定にあたり、もちろん各事業特性に応じて、個別の環境変化も把握の上分析しなければなりませんが、少なくとも、以下のマクロの部分が自社のビジネス展開にどう影響するのかを深く自問自答し、できるだけ戦略の「ビッグピクチャー(大きな全体の俯瞰図)」を描くことを、私はお薦めします。

 今起きている大きな環境変化をマクロ的に読むと次の通りで、順番に取り上げます。

・今は、新しい情報産業の革命の真っただ中にいる明確な認識が不可欠

・「人口オーナス期(人口構造の変化が経済にマイナスの効果を及ぼす時期)」に突入してきている事実の認識と対応が不可欠

・世界の経済をかく乱する要因が多くなる、その中でのビジネス展開には自社のみではコントロールが難しいリスクがあるとの認識が不可欠

・富の分配と貧富の格差が世界的に拡大するという認識が不可欠

・政府は正しい事実を伝えないこともあるという認識が不可欠

・戦略の実現可能性―絵に描いた餅としない認識が不可欠

 であることを10回にわたり取り上げます。

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