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折々の言葉 / 経営

経営者の「心の置き方」(1)

Posted on 2013-12-19

 人間いろいろな生き方があります。また、同じ人間でも人生のいろいろなステージで本人の生き方や心の置き方を変化させる人もいます。

 どの生き方が良い悪いというよりも、自分に適した生き方、特に「心の置き方」を探し求めていくのもこれまた人生、と最近考えています。蛇足ですが、私が関係している「ジョン万次郎から学ぶ会」の諸先輩理事の方々の生き方を垣間見るに、今も私自身「心の置き方」を学んでいる身です。

 私がある会社の社長という仕事に没頭していた頃の私自身の「心の置き方」について、『これからの課長の仕事』(ネットスクール出版)の中で数年前一部披瀝したことがありますが、今回は、少し視点を変えて経営者としての「心の置き方」について述べてみます。

 

第一に、「目標実現にむけて仕事をする」心掛けを持つ

 戦略をベースに事業目標や毎年度の計画を立ててもこれが必ずしも順調にいくとは限りません。私も約20年間の経営を通じてこのことを嫌というほど体験しました。

 こういう場合、経営者の心の置き方がおかしくなってきます。どうしても他人を責めたり、感情的になります。感情が優先してしまい自分の感情やその時の気分を基準にして行動しやすく、結果として、施策の軸がブレはじめて会社という組織の方向性が全く不安定になり、社員も顧客も誰も幸せになりにくい環境が生まれてくるのです。私はこれを回避するために、できる限りその時の気分にとらわれない配慮をしました。

 事業目標に向かって今やるべき仕事にどう取り組むかを最優先する「心の置き方」を持つ努力をしてきました。すなわち、事業目標の実現が遅れてしまうことがないよう、その時の気分や感情に害されず物事に対処できることに注力して、そのエネルギーを明日の糧にするよう心掛けました。こういう時こそ天秤の両側、感情と理性のうち理性の側に沢山の分銅を置く努力をしたのです。

 

第二に、「心の自由度」の幅を拡げる

 事業の進展がはかばかしくなく、顧客とのトラブルなどが連発すると、そのことのみを考えて呪縛の落とし穴に落ちるリスクを秘めています。私自身そこから出られなくなったことがありました。

 ある時期から、そうならないためにも心を開いた発想が必要とされることに気づきました。何か一つに心を固執しないで自由自在に変転できる心掛けに努力することです。逆に、手前味噌ですが、この心掛けをすることで全体の景色が良く見え、何か重大なことが発生しても逆に精神が統一し易いので適正な判断が出来た記憶を持ちます。

 いつか読んだ宮本武蔵の『五輪書』でも敵に対峙した時、どこか一点に注意や目線を集中せず、相手の総体に万遍なく注意を払い、全体として穏やかな状態を作る工夫をすることについて述べられていたことを記憶しています。

 このレベルまでは全くいきませんが、心構えとして「心の自由度」の幅の広さが経営者として必要だと考えています。このため経営者になるには禅の作法など自分に適した方法で「心の置き方」の鍛錬が必要になるかもしれません。

 

 

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