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強み / 折々の言葉

今は、小が大より魅力的な時代ではないでしょうか?

Posted on 2012-10-04

 世の中には「中小企業」という分類がありますが、これは明らかに、会社の強さなどを規模のみで判断した分類ではないでしょうか。1960年代の高度成長時代ならいざしらず、既にこの分類は、マーケットの流れや企業の特性にそぐわないのではないでしょうか。

 むしろ「小さいこと」にこだわってこそ、会社の強みを発揮できる場合が多いのではないかと私は考えます。

個の主張の時代

今の時代背景を考えると、

①    日本の社会が段々成熟し、物理的にはほとんどの生活者が満たされています。あくまで物理的に、です。私の場合も今、本心で「買いたい」と思うものが少なくなりました。

②    都会砂漠の言葉に代表されるように、隣の人や家族との縁が疎になっている中で、日常の生活に何となく不安や不満を持っている人が多くいます。私が主宰する「わくわく元気会」のある分科会での議論の中でも、これに類似した指摘がありました。また、私の経営での体験でも、一部の社員にこのような認識があることを感じていました。

③    そんな中で、人々は個性を主張したがっています。個性を主張する「場」を欲しています。ソーシャルネットワーク(SNS)のツールを利用した主張も「場」で個性を表現したい傾向の表現かもしれません。私もSNSを利用していてそう感じます。個々人が表現や主張の「場」をこれまで以上に欲しているのです。

 こんな時代の中で、生活者は何を求め、何に魅力を感じているのでしょうか。私がかつて経営を預かっていた会社では顧客サービスを専門にやっていた関係上、肌感覚で以下の点が分かります。

何に魅力を感じますか?

①    物理的には満たされた中でも、これまでの量や数で満たされた現状は、何となく模造品の集合体に見え、皆がもっと、本物を欲しています。年代層により違いがあるとしても、ショッピングセンターで本物を探している顧客層が増えていると、ある流通業の役員をしている甲正彦君からも聞きました。

②    大公約数的な商品やサービスが多い中で、自分、即ち「個」に対応した商品特性の深さやサービス特性が如実にでてくるようなものを、皆が欲しています。

③    その商品やサービスを通じて、疎になった関係性(Relationshipを密にできるきっかけを、皆が欲しています。私も時々遭遇します。ハーレー・ダビッドソンの購入者が、集団で箱根の十国峠越えのツーリングを楽しんでいる「一行」に。関係性を持つ機会の一例です。「・・・クラブ」と名のつくサークル活動などへの参加を志向する人がふえている現象も、このことの表れかもしれません。

④    これらが満たされれば、多少高くても個性的で専門的な商品やサービスには、私など購入意欲が湧いてきます。ここでポイントは「これが満たされれば」ということを企業が本気で実現しているかです。

「本物の魅力」を示す

 この現実を踏まえると、会社の規模は例え小さくても「強さ」を発揮するにはどうすれば良いのでしょうか。

 第一に、「本物」をつくることです。「本物のサービス」を提供することです。「本物」を見つけるには、いろいろな商品群から引き算をして、残った商品にこだわることです。他の商品群には一切見向きもせず、その商品にこだわりつづけることです。PCやスマホ等向けの動画の企画・製作にこだわり顧客を増やし続けている会社もあります。

 第二に、生活者との人間関係性をつくれる仕掛けにすることです。コミュニティーの仲間として、人と人との関係性をつくることです。その中でも、まず今の顧客を大事にすることです。先述、ハーレー・ダビッドソンの例をだしましたが、このようなコミュニティーに、会社が多少のサポートをしながら今の顧客を大切にすれば、その人たちの「口コミ」パワーの効果が期待できることになるかもしれません。

 第三に、そのような顧客に常にメッセージを発信して、その人にのみ役立つ最新の情報を提供し、「あなただけ」を、「いかに個別に大事にしているか」を示す仕掛けをつくることです。「何が欲しいかが分からない」顧客がなかにはいるかもしれません。そのような顧客に対しては、彼らが欲しいものを探す方向に上手く導くような行為も望まれます。これを実現する為には、私が主張する自社の商品のサービス導線全体のデザイニング(他の稿に譲る)が不可欠です。

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