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折々の言葉 / 時代認識

第198回 今の時代をどう見るか(3)

Posted on 2016-04-14

前号の続きです。

 

新自由主義の時代へ

 ところが、ソ連が1991年に崩壊してから、アメリカの覇権が確立、世界の問題の面倒をアメリカ主導でみる時代がきました。

 これにより、「新自由主義」が完全に主導権を握る形になりました。資本主義が、今度は新自由主義の形に変容をしてきたことを物語ります。サッチャー首相、レーガン大統領、中曽根首相の時代で、この推進により社会に巨大な格差が生じることとなった契機をつくった時代と称する識者もいます。

 資本主義は、最近までこの新自由主義と位置付けされるのではないでしょうか。

 

今は、・・・の時代

 今は、この新自由主義がおかしくなってきました。これが崩壊し、アメリカの力が弱くなり多極化時代に入る。これが新しい帝国主義やナショナリズムと連動して、資本主義が更に危なく変容する新しい時代に突入しつつあるという大雑把な把握が時代に対する私の考えです。

 

3.新たな帝国主義の時代とみます。

 このように資本主義が新たな資本主義の時代に変質してきたことは、帝国主義の変遷、特に、今が新たな帝国主義の時代に突入してきた時代だという認識と、大いに関係があると考えます。

 先ほどの項で述べた通り、帝国主義の方向性は、

 1.グローバル化による多国籍企業による資本の集積と金融資本の結びつき、

 2.安価な原料や労働力の確保を求めて資本込みのインフラ輸出を指向するため、

 3.国家機能をさらに強化する傾向が出てくることです。

 これが古い帝国主義のやり方で、今もこれを志向している国々も見られますが、帝国主義の方向性は変えず新しい手法で帝国主義的アプローチをする、新たな段階を迎えつつあると認識します。1989年のベルリン崩壊から2014年のウクライナなどでの問題を見ると、旧い手法と新しい方法の混在がみられる新たな帝国主義の時代にはいっていると見ます。

 新しい帝国主義では、経済封鎖の手段を使い、相手が経済的打撃を蒙る。経済的締め付けを新たな武器として使う方法です。

 旧い帝国主義では植民地を求めたのに新しい帝国主義では、求めてこない。外部からの搾取や収奪も相手国が弱まるのを待ってつけ込むスタイルとなります。世界各地でこの手法がみられています。

 最近のケースですと、2008年の北京五輪開幕の陰で、ロシアがグルジアの自治区域で南オセチアとアブハジアの独立を一転して承認し、ロシアの緩衝地帯を作りました。

 2011年、アメリカのオバマ大統領も南スーダンを独立させました。対中国の石油資源対策のためです。2012年にミャンマーと関係を改善し親米としましたが、これも中国の生命線であるインド洋に出るラインを止める、イランからパイプラインも引けないようにしたものと、殆どの識者はみています。アメリカが弱まった隙に、中国も海上で岩礁を埋め立て、権益を増そうとしています。

 日本も、突然、法解釈を変更して武器輸出三原則を緩和しました。オースオラリヤにディーゼル潜水艦を輸出可能としました。想定する国に、あからさまでない経済的方法で影響力を行使するためです。新しい帝国主義的手法を取っています。

 

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